「気持ちの揺れをコントロールできない」と語っていますが、「ちょっと暗くなったり浮かれたり」とは思わないでください。突然、凶暴になって怒鳴りまくるかと思うと、落ち込んで部屋に一人で閉じこもる・・・というような意味合いだと思います。
"I can't control my mood swings."— ESPN (@espn) April 24, 2016
Thurman Thomas says he struggles from concussion effects: https://t.co/ZaagGL9t3q pic.twitter.com/jvI7a8p3pL
「(脳震盪について)家では話し合わない。友達とも話さない。話すことに抵抗があるんだ。なぜかというと、もっと事実関係なり、知識なりをつけてからと思って」
「50歳になった時、歩けるだろうか?45歳になった時、物事の順序をちゃんと覚えてられるだろうか?50歳になって情緒不安定にならないだろうか?もっとひどいことを言えば、鬱病になって自殺しないだろうか?なんて、フットボールを始めた子どもの頃は、考えもしなかった」
「子どもの時フットボールをしていて、頭痛があったかもしれない。自分がどこにいるのか、ふっと思い出せないことがあったかもしれない。そんな時は、痛み止めの薬を飲んで、試合に戻った。だって、何も知らなかったんだ」
「(大学時代)お医者さんもトレーナーも、できることをやってくれた。今みたいな技術や知識はなかったんだ。そりゃあ少しはあったかも知れないけど・・・1984年のことだ」
「(NFLに入って)頭への衝撃は、ますます強くなった。回数も増えた。(大学生より)大きくて、俊敏で、強い選手からヒットをうけるんだ」
NFL入り初めての脳震盪は、3年目のブロンコス戦だったとトーマスさんは語ります。
「地面に倒れる前、目の前が真っ暗になった。目を開けても、何も見えなかった。7、8秒で見えるようになったけど」
「まだ25歳だった。金を稼がなきゃ。こんなの、たいしたことじゃない。サイドラインに下がって、医師が手順に従って診てくれた・・・・たいした手順じゃないけど」
NFLを引退して15年たつトーマスさん。来月には50歳になります。
「気持ちの揺れをコントロールすることができない。それで、家族に迷惑をかけている。理解ある家族に恵まれたことを神に感謝しているよ。プロで13年、そのあと15年、私と一緒にいてくれた。みんな私の情緒不安定を理解してくれている。どうしようもないことも」
集中力がなくなり、物事を順序だてて覚えていられないというトーマスさんは、メモをいつでも携帯するようになりました。2、3年前には、いつも通っている道を運転していて、ふと自分がどこにいるのかわからなくなったそうです。
「自分がどこにいるのかも、何をしているのかも分からなくなったんだ。ハイウェイの路肩に車を止めて、妻に電話した。今までで一番つらい電話だった。今、どんなことが起こったのか話したよ。妻は『家に帰ってきなさい』って私に言ったんだ」
その数日後、病院でMRI検査を受けたトーマスさん。前頭葉は「頭を先にして屋根から落ちた人」、もしくは、「車のフロントガラスを数回ぶち破った人」のようだと言われました。
「医者は、まあまあだって言ったんだ。13年NFLでやってきた選手にしては、まあまあだって」
病状は、悪化するばかりだろうと、お医者さんに説明を受けました。その言葉どおりに、症状は良くなることなく、悪くなっているとトーマスさんは語ります。
トーマスさんの子どもさん(14歳)もフットボールをしていましたが、脳震盪にあってから、休んでいるそうです。
「妻は、もうさせたくないと言っている。体がぶつかるスポーツを子どもにさせている親御さんに、やめさせろと言うつもりはない。技術は改善されている。研究も進んでいる」
脳震盪が起こった場合は、チームの医師が、まず選手を試合からはずさなければならないとトーマスさんは語ります。なぜなら、選手は試合に留まっていたいものだから。
「チームの医師が決断しなければ。絶対」とトーマスさんは語りました。
NFLでは脳震盪を起こしたときのプロトコル(手順)が決まっています。フィールド上にチームの医師もいるし、トレーナーもいます。全試合に、NFLの専門スタッフが派遣され、脳震盪のケースを監視しています。コーチだって、選手だって、審判だって、十分注意を払っているでしょう。でも、事故は必ず起こるし、適切な判断が遅れることもあります。どうしても、指の間からは水が漏れるように。
去年も、キーナム選手が、明らかに脳震盪と見えるのに試合は中断されず、プレイを続けた例もありました。
これ、見たくない人は見ないでください・・・
同点の試合で残り1分。試合に勝つことに頭がいっぱいで、QBが頭をぶつけたことに注意が届いていない。コーチでも選手でも審判でも誰でもいいけど、これを見ていた人は、試合を中断してQBの様子を確認しなきゃいけなかったのに。NFLの監視員は何を見てたんだろう。
プロの試合でもこうなんですから、ましてや、小中学生が頭をぶつけた時、大丈夫と思って練習や試合を続けさせる場合があるかもしれません。ことの大きさに気がつかずに。
脳震盪を起こさないようにする改善策とか、医療対策とか、だんだん良くなってはいくのでしょうが、でも、このスポーツをやっている限り、避けられない問題です。体のほかの部分にかかる負担だって大変なものだというのにね・・・。
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