NFLはレギュラーシーズンが終了し、プレイオフに出場できなかったチームでは、さっそく来年へ向けての改革が始まりました。職を失うコーチもあり、未来を託される若手もチラホラ。今日はそんな新鋭のひとり、現サンフランシスコ・49ersのオフェンシブコーディネーター、マイク・マクダニエルさんを紹介したいと思います。
HCフローレスを解雇し、世間をあっと言わせたマイアミ・ドルフィンズが、この人との面接をナイナーズに申し込み、がぜん注目を集めました。
こんな感じの人。
I hope the Vikings hire 49ers OC Mike McDaniel, simply for the press conference vibes pic.twitter.com/y221Gv4qPT
— Will Ragatz (@WillRagatz) January 12, 2022
ちょっと、なんか、フットボール界では珍しいタイプ?
選手をしてたと思えない。高校じゃムキムキの体育系にブッ飛ばされてたに違いない。どっちかといえばIT業界、またはスタバのバリスタみたいな風貌です。
ところがですね、この人がランオフェンスを組み立てる天才らしいんです。押しも押されぬナイナーズHCシャナハンの右腕。選手からの信頼も厚く、ナイナーズTEキトルさんなんか「彼をオレの契約に入れてくれ。一緒にキャリアを積みたい」とまで言ってます。
マイク・マクダニエルさんはコロラド州出身で、もちろんデンバー・ブロンコスの大ファン。トレーニングキャンプに通っていた10歳の夏、ブロンコスの帽子をなくし、泣いていました。それを見かけたブロンコスのビデオスタッフが新しい帽子をくれて、顔見知りになったそうです。シングルマザーだったお母さんをこのスタッフに紹介して、2人はやがて結婚。
フットボールが大好きなマクダニエル少年は、ヘルメットの内側に「NFLに行く」と決意を書き込んでいました。選手では無理と自覚していたのでコーチとして。
高校時代はブロンコスのボールボーイを務め、卒業後は奨学金を得てイェール大学に進学。歴史を専攻し、フットボール部ではレシーバーの補欠でした。投資銀行でインターンも経験しましたが、「情熱を傾けられる仕事ってフットボール以外にないんだよね」と語っています。
大学の夏休みにはコロラドに戻ってブロンコスで働き、卒業後、当時のヘッドコーチ、マイク・シャナハンのもとでインターンとして就職。
ブロンコスのオフェンシブコーディネーターだったゲイリー・キュービアックがテキサンズHCに就任すると、一緒に移籍し、そこでキュービアックが雇ったワイドレシーバーコーチ、カイル・シャナハンと知り合います。
息子シャナハンと共にワシントン・レッドスキンズ、クリーブランド・ブラウンズ、アトランタ・ファルコンズ、サンフランシスコ・49ersと移籍しました。ナイナーズではシャナハンHCの元、ランゲームコーディネーターを4年間務めた後、今年からオフェンシブコーディネーターに昇進。プレイコールはシャナハンが出しますが、攻撃プレイを組み立てます。
トントン拍子に階段を昇ったようにも見えますが、つまずきもありました。
テキサンズでは寝坊して解雇され、ブラウンズでは机の下に隠していたウォッカの瓶を発見され、アトランタでは情緒不安定、アルコールの匂いがすると叱責されました。
アトランタHCクイン、GMデミトロフの勧めで、依存症回復施設へ数週間入院。うつ病も患っていました。
当時のことを「生まれて初めて、仲間が支えてくれて『お前はひとりじゃないぞ』って言ってくれたんだ」とマクダニエルさんは語っています。
最後にビールを飲んだのは2016年1月。以来「酒を飲む気は全く無い」と語っています。
フットボール好きの一心で、コーチになると決意し、何にもない所から自分で道を切り開いて行ったのすごくないすか、この人。頭脳明晰なんだと思うけど、途方もない時間をフットボールの戦術研究に費やしてきたんだと思います。
知らんかったけど、シャナハンのランゲームの秘密兵器だったんだ。他のチームには出したくないだろうなあ。
ということで、ワイルドカード、ナイナーズ対カウボーイズはサイドラインのマクダニエルさんにも注目したいです。地味ではありますが、OCなのでちょっとは画面に出るかも。ごっつい大男たちに混ざって異端に見えるんじゃないかな。楽しみです。
プレイオフ、盛り上がって行こー!
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