別件で、二人殺人事件の無罪判決が数日前に下りたばかり。現在服役中であるオディン・ロイド殺人事件に関しても控訴する予定でした。傍聴席に詰め掛けていたのは、ほとんど被害者二人の家族と友人で、ヘルナンデス側は婚約者と4歳の娘さんだけ。下の写真は、無罪判決後に二人に向けて投げキッスするところ。
My heart goes out to Aaron Hernandez's daughter who has to deal with stories about her dad forever on top of losing him. #Sad pic.twitter.com/CPEATEhsFh— Giavanni Ruffin (@Giavanni_Ruffin) 19 April 2017
「父親を亡くし、その上、これからずっと父親にまつわる数々の話と向き合っていかなければならないアーロン・ヘルナンデスの娘のことを思うと、胸が痛む」とコメントしていた方がいましたが、ほんとにそう。
アーロン・ヘルナンデスは、20歳でNFL入り。その年のロースター最年少でした。22歳で40億円の大型契約を結び、25歳で殺人罪による無期懲役が確定。獄中、ベッドシーツで首を吊り、享年27歳。
三人の命を(多分)奪い、知り合いの顔面を撃ち抜いて片目にし(多分)、被害者関係者一同を不幸に陥れただけでなく、自殺によって、自分の家族をも悲しませるという、救いようのない結末になりました。
子どもたちが夢見るようなNFLのスター選手になったのに。人がうらやむような成功を手に入れたのに、殺人を犯す理由がどこにあっただろう。人の人生メチャクチャにしたあげく、自分の命も捨てるのか。不幸を振りまくために生まれて来たんか、おい。
オディン・ロイド殺人事件が起こったのは、2013年。
ロイドさんの彼女とヘルナンデスの婚約者が姉妹という縁で知りあいました。ロイドさん自身もセミプロのフットボール選手でしたが、それだけでは生活していけない状況。車がないロイドさんに、ヘルナンデスが高級車をレンタカーで借りてやったり、一緒にクラブで一晩100万円と豪遊したりしていました。
6月16日の夜、ヘルナンデスから連絡が来て呼び出されたロイドさんは、翌朝、死体となって発見されました。車に乗せられて殺害現場に向かう途中、「俺が誰と一緒にいるか知っているだろう」「Nfl」というテキストを妹に送っていたそうです。
死体が発見されたのは、ヘルナンデスの自宅から1kmほど離れた空き地。銃で数回撃たれ、そのまま放置されていました。
それまでにも、彼の過激で暴力的な一面は問題になっていました。
2007年には、フロリダのレストランで支払いを巡って争いになり、従業員を殴って鼓膜を破裂させています。当時チームメイトだったQBティム・ティーボウが同席しており、仲裁に入ろうとしたが無理だったということ。
フロリダ大学では、何度もドラッグテストに引っかかりました。
2012年には、ボストンで二人殺人事件容疑。ナイトクラブでドリンクをこぼされてカッとなったヘルナンデスが、クラブを出た後、その人の車の横につけ銃を発砲したと、ヘルナンデスの車を運転していた知人が証言しています。
アレクサンダー・ブラッドリーという、この知人は、2013年にフロリダで顔面を撃たれ、片目を失いました。前年の殺人事件の証人を消そうとしたヘルナンデスが犯人だと語っています。
ブラッドリーはドラッグディーラーであり、犯罪者でもあるので、証言は信用できないと二人殺人事件は無実になったわけですが、これらの事件から、ヘルナンデスの冷酷で残忍な一面が浮き出しになりました。
それ以上に驚くのが、犯罪に対しての無頓着さ。人を撃ってそのまま。証拠を隠すとか、バレないように細心の注意を払うとか、そんなことはどうでもいい。警察がどうしようと構わない。と言わんばかりの無造作さは、すでに自分の人生を投げ出しているかのよう。
彼のことを思う友達だっていたでしょう。フロリダ大学のフットボールプログラムなら、コーチやカウンセラーなど、彼をサポートする人がたくさんいたはずなのに。
父親代わりのように親しくしていたコーチもいます。オディン・ロイド事件当日は、ちょうど父の日で、アーロン・ヘルナンデスはそのコーチに「父の日おめでとう」と連絡していました。その日が誕生日だったコーチの息子とも45分談笑していたそうです。
スーパーボウルに出場してタッチダウンも記録していた。ブレイディのパスをいくらでもキャッチして、NFLのスター街道を突き進んで、結婚して幸せな家庭を築けるはずだったのに、それを選ばず、不幸な道に自ら進んで堕ちていったこの人。
自殺報道後には、マイアミ・ドルフィンズのマイク・パウンシー選手が、インスタグラムに友人の死を悼む投稿をしています。フロリダ大学でチームメイトでした。
また、2011年ニューイングランド・ペイトリオッツ対デンバー・ブロンコスの試合後には、トム・ブレイディとティム・ティーボウがこんな会話を交わしています。
ブレイディ:アーロンとブランドンのことは、気をつけて見てるよ。I'm trying to watch over Aaron and Brandon.
ティーボウ:感謝してます。いいヤツらなんですよ。I appreciate that, too, man. They are good guys.
ブレイディ:まあね。大変だけどね。Yeah, they are a lot to handle.
(当時ペイトリオッツのラインバッカーだったブランドン・スパイクスもフロリダ大学でティーボウのチームメイトでした)
人間って、本当によく分からんよね・・・。
自殺報道後、様々な情報が明らかになってきています。
アーロン・ヘルナンデスの額には赤いインクでjohn 3:16と書いてあった。聖書が開いてあり、3通のメッセージが残されていた。法的には無実で死亡したことになるので、ペイトリオッツは契約金の支払い義務がある。娘に遺産を残すために自殺したのではないか。実はヘルナンデスはバイセクシュアルで、それを隠すためにオディン・ロイドを殺害した・・などなど。
これからもしばらく関連ニュースが続くかもしれませんが、もう放っておいたほうがいいような気持ち。
人を殺したアーロン・ヘルナンデスに同情はしないけど、彼の家族と被害者の家族、知人関係者の方々は、本当に気の毒です。残念ですとしか言いようがない・・。
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