2018/03/24

ペイトン・マニングとドラフト1位を争ったライアン・リーフ その後のカムバック

ライアン・リーフという名前を聞いたことがありますか?1998年NFLドラフトで、ペイトン・マニングと1位指名を争ったクォーターバック。マニングよりも肩が強い、成功する資質はリーフの方が上と語る関係者もたくさんいたそうです。

ペイトン・マニングは全体1位指名を受けてインディアナポリス・コルツへ。NFLを代表する選手となって、18年間活躍し続けました。一方、ライアン・リーフは2位でサンディエゴ・チャージャーズへ入団。ルーキーとして最初の2試合に勝利した後、成績は全く振るわず。素行の悪さもありファンに叩かれ、選手生活は4年で終了となりました。ドラフトバストナンバーワン。そんな呼び名もある彼が、なぜ今、公の場に出てきたのか――。


小さな頃から極度な負けず嫌いだったと本人は語っています。勝てなければ腹が立つ。復讐戦をすぐにでもしたい。相手を情け容赦なく叩きのめしたい。試合で争うことは、ある意味ドラッグと同じだった。これがなければ生きていけない。これ以外に価値を見出せなかったと。

抜群の運動能力を持ち、負けん気も強かった。野球もバスケットボールもフットボールも人より上手。大学までずっと自分が一番で、自信満々だった。それが、プロの世界で挫折。バックアップとしてフットボールを続ける道もあったのに、当時はプライドがそれを許さなかったと語っています。逃げるようにフットボール界から姿を消しました。

3ヶ月後、ラスベガスにボクシングの試合を見に行くと、会場のアナウンサーが思いがけず自分の名前を口にしました。「本日は、有名人がたくさん観戦に訪れています!チャールズ・バークリー!(拍手)タイガー・ウッズ!(拍手)ドクター・ドレー!(拍手)ライアン・リーフ!」他の有名人には拍手だったのに、自分の名前が呼ばれた後は、嵐のようなブーイング。

もちろんNFLで試合中にブーイングされたことはあります。メディアやファンにバッシングされたことも。プロの選手ならそういうこともある。しかしこの時は、プレイではなく人間としての自分を否定された気持ちになりました。その夜、知人にバイコデンという処方薬を渡され、心の痛みを消すことができました。

怒りやすい、自己中心的、人を貶す、不安症。もともとそんな資質があり、依存症に陥り易いタチだったのかもしれない。一度経験したドラッグは、確かに劣等感に圧倒されそうな自分の心を癒す助けになってくれました。

そして薬物依存症へ。サンディエゴの豪邸に住んでいましたが、ブラインドを締め切り、暗い部屋でピルを齧りながら再放送のテレビドラマを眺める毎日。その反面、外に出る機会があると平静を装って生活していました。

しかしある日、故郷のモンタナで知人の家に盗みに入ります。薬がバスルームにある。それが欲しくて留守宅に忍び込んだはずが、家人の車が戻って来て、怪訝な顔で詰問される・・・結局、家宅侵入窃盗罪で服役が決定しました。

32カ月の刑務所暮らし。しかし、ここでの生活、ここで会った人達が自分を救ってくれたのだとライアン・リーフさんは語ります。

26カ月間は何をやる気もなく、自分を憐れんで部屋に籠っていました。そんなある日、退役軍人のルームメイトの言葉が、なぜか心に届きました。「もう、そろそろ頭を砂の中から出す時だぞ。何か役に立つことをしなきゃ。図書館に字の読めない人がいるから手伝おう」

気が乗りませんでしたが、言葉に従い、字の読めない囚人に読み方を教えました。それが1週間続き、また1週間。自分が誰かのために奉仕するのは、これが人生で始めてだと気が付きました。1か月する頃には、夜、枕に頭を置いた時に、自分を少しだけ良く思えるようになりました。この状況もそんなに悪くない。ここから出たい。そして何かをしたい。そんな希望の光が見えてきたのだとリーフさんは語ります。

2014年12月に出所。110日間独房で過ごした時に、薬物とは縁が切れましたが、心と体の治療はずっと続けていかなければなりません。自分も治療施設に通っている間、関連のサポート団体で仕事がしたいと責任者に何度も電話をかけ、やっと面接の約束を取りつけました。電話を切る間際に、向こうでのこんな会話が聞こえてきたそうです。

「しつこく電話をかけてくるヤツがいるんだよ。変な話だが、フットボール選手と同じ名前なんだよ・・・」

面接の後、「普通は時給10ドル(1000円)から始めるんだが、キミは15ドルからだ」と言われ、責任者と固く抱擁。素晴らしい気分だったそうです。NFLでは年5億円もらって、酷い気持ちで過ごしていたのに、やっと晴れ晴れした気持ちになれた――。

以後、ライアン・リーフさんは薬物依存症の患者さんとその家族を援助する活動を続けています。アメリカ全土で講演を行い、知識を広め、依存症に対する理解を深めることが自分の使命。NFLコンバインにも招待されて、これからプロの世界に飛び込むクォーターバック達に自分の体験談を含めたアドバイスをしています。

という、こんな話を聞いてですね、私はYouTubeで昔のリーフさんを見てみました。ほんと、鼻っ柱が強そう。負けた試合の後インタビューされて、記者に食ってかかったりしていた場面もありました。

自分の弱さを公表するなんて、なんと勇気のいることでしょう。自分の経験が誰かの助けになるなら、と運動を続けている彼の姿勢は私達にも勇気を与えてくれます。ペイトン・マニングの華やかな選手生活がひとつの成功物語なら、紆余曲折を経て今に至ったライアン・リーフさんもサクセスストーリーの立役者と呼べるのではないでしょうか。ね!

2018/03/18

ブロンコスが夢だったと語るケイス・キーナムがむっちゃ嬉しそうな件

「カーク・カズンズ、ブロンコスに来てー!」と大きな声でキャンペーンしてたのは、LBボン・ミラーさんとWRエマニュエル・サンダースさんですが、デンバー・ブロンコスの先発QBとしてGMジョン・エルウェイさんが獲得したのは、ケイス・キーナムさんでした!

子どもの頃はエルウェイの大ファンだったというキーナムさん、ブロンコスのジャージを手に取って感慨深げ・・・。


ボンがあんなこと言ってて、気まずくない?という質問をされると「いや、全然。ボンちゃんが真っ先に連絡くれたよ」とのこと。

「自分のチームを良くしたいという選手に拍手だ。チームを良くするためにどんなことでもする選手がチームメイトになるのは嬉しい。そんなロッカールームに入って、リーダーとして認めてもらう準備は万端だ」

フリーエージェントQBが何人かいた今年のオフシーズンですが、ブロンコスは最初からキーナム獲得を決めていた様子です。そしてその決断に大きく影響を及ぼしていたというゲイリー・キュービアックさん。

キュービアックさんを覚えていますか?私は大好きでしたよ。2015-2016年にブロンコスのヘッドコーチでしが、健康上の理由から辞任。現在はブロンコスでアドバイザーをする、エルウェイさんの右腕です。

高校卒業時、大学からの奨学金オファーは1校だけだったというケイス・キーナムさんは、2012年にドラフト外でヒューストン・テキサンズに入団。ヘッドコーチがキュービアックさん、そして現在ブロンコスヘッドコーチのバンス・ジョゼフさんがディフェンシブバックコーチをしていました。

1年目を練習生で過ごした後、2年目にはバックアップQBに昇格。先発QBの故障によりNFLデビューを果たしましたが、0勝8敗の成績に終わりました。その後ラムズ、再びテキサンズ、バイキングスと、チームを転々としながら先発とバックアップを経験してきました。

「ゲイリーがケイスを知ってたからね、それが一番の要因だ。ゲイリーが彼を人間としてどう見ていたか、ロッカールームで何をしてくれるか。ロッカールームはいつだって改善していかなければ。見たとおり、ケイスを成熟さを持ち込んでくれるだろう。大きな収穫だ」

とエルウェイさんは語っています。

さて、生まれも育ちもテキサス州のキーナムさんが、コロラド州で最後に試合をしたのは大学生の時。その時のことを今でも鮮明に覚えています。

試合終了前、3点差を追っての最後のパス。キーナムさんがエンドゾーンに向けて放ったパスをインターセプトしたセイフティの名前はクリント・キュービアック。

「フィールドゴールでも良かったんだ。だけど僕が欲張って、タッチダウンパスで勝とうとした。そこに彼が飛び込んだ。今は同じチームになってホッとしてる」

とキーナムさんが語るクリント・キュービアックさんは、もちろんゲイリー・キュービアックさんの長男で、現在はブロンコスのオフェンシブアシスタント兼クォーターバックコーチ。この時のインターセプションの写真は、キーナムさんの携帯に思い出として残されているそう。

そんな話を聞くと、何か縁があってブロンコスに来たような気がします。契約は2年36億円(25億円確定)。しかし、来月のドラフトで5位指名権を持っているブロンコスは、クォーターバックを指名する可能性もあります。GMエルウェイさんは既にはベイカー・メイフィールドとジョシュ・ローゼンのプロデイを視察、またサム・ダーノルドとメイフィールドをデンバーに呼んで面接する予定もあります。

「このリーグに長年いれば、どんなことでも起こりうる。チームがドラフト指名権をトレードアップして全体1位権を取ったとき、僕は先発QBだったし」

とキーナムさん。そうでした。2016年、ラムズが1位でジャレッド・ゴフを指名したんでしたよね・・・。

とまあ、本当に何が起こるか分からないNFLですが、笑顔が優しそうで好感度抜群のケイス・キーナムさん、ブロンコスで頑張ってほしいです。ミネソタ・バイキングスに行ったQBトレバー・シミアンさんも応援してるよ!カーク・カズンズから先発の座を奪い取ってもいいんだよ!あと、すぐ泣いちゃうパクストン・リンチくんも応援してるよ!フランチャイズQBになって見せろー!

契約後のすごくハッピーなキーナム夫妻。幼少時のケイスくん、かわいいね!ツイッターのアイコンでいつも会えるね!


さて2012年ドラフト組QBといえば、アンドリュー・ラック(1位)、ロバート・グリフィンⅢ(2位)、ライアン・タネヒル(8位)、ブロック・オズワイラー(2巡)、ラッセル・ウィルソン(3巡)、ニック・フォールズ(3巡)、カーク・カズンズ(4巡)、そしてケイス・キーナム(ドラフト外)。

うーん、いろんなことがありますね・・・。

2018/03/16

シーホークス戦に執念燃やす49erリチャード・シャーマン

あっちもこっちも大型移籍が相次ぐNFLですが、シーホークスは、チームの顔CBリチャード・シャーマンが、同地区ライバルのサンフランシスコ・49ersに移籍しました。

エージェントなしで自ら契約交渉に当たったシャーマンさんですが、シーホークスGMシュナイダーさんが交渉の仕方をアドバイスしてくれたとも言われているので、リリースは双方合意の上あっさりと決まったんじゃないのかな。

今年11億円払えないなあ。給料カットOK?➜ならフリーエージェント市場を当たるわい➜そう?じゃあリリースするからやってみなよ――ってかんじ?

リリースが発表された金曜の夜には、さっそく49ersのヘッドコーチ、カイル・シャナハン夫妻、シャーマンと婚約者が食事に。翌朝には回復中のアキレス腱スキャンを含めた身体検査を行い、昼から細かい契約交渉を始めて、土曜午後には公式発表となりました。

49ers契約担当者によると、シャーマンは過去を含めたトップコーナーバックの契約書をすべて読み、さらに49ers選手の契約内容も調べて交渉に臨んだとのこと。「10~12時間費やしたよ。契約の内容や専門用語に慣れるために。自分のエージェントなんだからリサーチしないと」とは本人の弁。

契約内容がほとんど決まると、フリーエージェントの自分に興味を示しているチームに確認の電話を入れました。まずシーホークス。GMシュナイダーさんは「インセンティブが多すぎる」ということで拒否。オークランド・レイダーズ、デトロイト・ライオンズのGMにも却下されました。

さて、その契約内容はというと、契約時ボーナスが3億円、ロースターボーナス(キャンプまでに身体検査をパスできたら)2億、2018年の基本給2億、試合ごとのロースターボーナスで年2億、90%のスナップをプレイしたら1億、プロボウル選出で1億、オールプロ選出で2億。

一応3年で39億円になる契約ですが、これ、けっこうキツいのでは?怪我して出場できなかったらかなり減給になりそう。それにオールプロなんてコーナーバックはトップ2選手しか選ばれないのに、故障明け30歳で選出されるのでしょうか。

ジョー・トーマスさんなんか気の毒がってました。選手がエージェント役をするのは良くないと・・・。

しかし、今年ディフェンスのスナップを90%プレイし、プロボウルに選出されれば、シアトルで得るはずだった11億円は達成します。加えて、来年度の8億円が確定する内容。

「前の契約では、今年どんなプレイをしても翌年の確約はなかった。不安だった。しかし今度は、自分の思ったとおりのプレイができれば金が入ってくるんだ」

49ersのGMジョン・リンチに、「ここに来れば、シアトルと年に2回できるぞ」と言われて「復讐もいいな」と語ったリチャード・シャーマン。

「ファンは死ぬほど好きだよ。あそこでプレイするのも大好きだった。素晴らしいチャンスに恵まれた。チームの発展に力を貸すことができた。だけど今はオレがチームを捨てたみたいじゃないか。オレのジャージを燃やしてるヤツもいる。オレが出てったんじゃない。出されたんだ。オレは誰も捨てたりしていない。」

シャーマンがいなくなって寂しいけど、NFLはどのチームでもこんなの当たり前ですね。もともとカリフォルニア出身だし、ベイエリアは出身校スタンフォード大学の地元だし、サンフランシスコ・49ersってシャーマンに似合ってる気がします。

なーにが復讐だ、バッキャロー!ラッセル・ウィルソンがシャーマンなんかズッタズタにしてやるわい!見てろよーーーーー!ダグ・ボールドウィンだって爪をといで待ってるでーーーー!49ersとの試合、むっちゃ楽しみ!!!

ということで、チームの顔だったシャーマンは去り、他の選手もぞろぞろといなくなっているシーホークスです。このオフシーズンは、まだまだ気が抜けません・・・。

2018/03/12

ジョシュ・ローゼンの事実と噂

フリーエージェント解禁前からドタバタしているNFLですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。ちょっと気持ちを変えて、ドラフト候補生の話題です。UCLA出身で上位指名確実と言われる、QBジョシュ・ローゼンくん。


「僕はここにいる中で最高のクォーターバックだ。ディフェンスを分析し、正しい場所にボールを投げることができる。決断力もある。僕たちは競争者だから、他のクォーターバックも同じように思っているだろう」

と、コンバインで語っていました。アメリカ人の「自分がナンバーワン」精神はここでも揺るぎなし。あっ、そう~。そうなんだ~。自分を信じ切るってすごいな・・・。

このローゼン君については、これまでに様々な噂が飛び交っていました。NFLでプレイするだけのモチベーションがあるのか?権威を軽く見すぎているのでは?頭が良すぎる?チームメイトに嫌われている?などなど。運動能力的には優れているが、指名をためらうチームもいるかもしれない、という声も聞きました。そのジョシュ・ローゼンくんのプロフィールです。

1.NFLへのモチベーション

お父さんは有名な脊椎外科医、お母さんは権威あるアイビーリーグ大学創設者の直系という、かなり裕福な家庭で育ったローゼンくん。大学の寮にジェットバスを持ち込んで話題になったこともあります。プロにならずとも億単位の金に困ることのない彼が、NFLのでやっていくだけのタフさがあるのか?

「僕の家は16歳の誕生日にフェラーリを買ってくれるほど金持ちじゃない。ただ他のチームメイトのような(経済的)心配がなかっただけ。世の中の格差に触れることができたのはフットボールのおかげだ。だから大好きだ。

必要がないのにプレイしている、ということは、僕が本当にフットボールが好きだということを証明している。経済的に必要ないのに、魂も心もフットボールに捧げているんだ。誰かに無理強いされてやっているわけじゃない。両親は学業中心に僕を教育してくれた。二人ともアイビーリーグの卒業生で、それに誇りに思っている。フットボールのために大学を変えることを、なんとか説得して、やっと分かってもらったんだ。」

ローゼンくんは語っています。お父さんはなんと、フィギュアスケートでオリンピック選考会にも出たという人。メスを握るフィギュアスケーターってすごくない?お母さんとはアイスダンスのペアだったそう。

2.フットボール外での主張

大統領選挙があった2016年には、"FUCK TRUMP"メッセージ付きの帽子をかぶり、ドナルド・トランプ所有のゴルフコースでスイングを振る写真をインスタグラムに投稿。

また、UCLAがアンダーアーマー社と280億円のシューズ・アパレル契約を結んだ時には、「これでも僕たちはアマチュア。非営利団体NCAAてか」と全米大学体育協会の偽善ぶりを非難。

インスタグラムの投稿はどちらも削除されましたが、トランプ帽子については「投稿したことに後悔はしていない。ちょっと笑えるだろ?」とコメントしていました。

政治的発言を厭わない選手を、超保守的なNFLチーム幹部が両手を広げて迎え入れるのか?「余計なことをせず選手はフットボールに専念すればいいのだ」と考えるオーナーがどれくらいいるのか(多分ほとんど)を考えると、危険マークを貼られているかもしれません。

3、チームメイトに嫌われている??

「嫌われているとか、自己中心的だとか、頭良すぎとか、匿名の人に言われても気にはならない。だけど、コンバイン後もそう言われたらイヤかもしれない。だって、もう実際にはチームとは面会したからね。それでも噂が続くようなら、何かあるってことだ。懸念すると思う。今のところは雑音にしかすぎないけど」

と、ローゼンくん。UCLAのチームメイトが、コンバインの面接で一番先に聞かれたことはローゼンくんのことだったとも語っています。チームに溶け込める人柄は、もちろんスカウトが考慮するポイントのひとつでしょう。コンバインの面接では、「同じチームから、一緒にNFLチームに行ける選手がいるとすれば、誰を選びますか?」という質問が必ず出るようです。ドラフト候補生もいろいろ大変っすね。

さて今週は、政治的に率直なローゼンくんに対して「彼は人道主義者になるか、フットボール選手になるか、決めた方がいい」と発言したNFLコメンテーターがいて、JJ・ワットさまの怒りに触れていました。

「バカバカしいコメントだ。良くも悪くも、アスリートはこの国で皆に認知されている。この大きな影響力を利用して、大勢の選手が地域社会に貢献している。その力を使わない人間がいるのか?」

そのとおりですね。自分の主張があるなら言ったらいいじゃないか。スポーツ選手であれ、政治的に積極的であって何が悪い。有名であるからこそ、社会を改善できる力になれるんだもの。そういえば昨シーズンも国歌斉唱時に起立しない選手がいて批判されていましたね。まだ世間の風当たりは強くても、これからどんどん変わっていくんじゃないでしょうか。保守的なNFLといえど。

ということで、ローゼンくんはどこのチームに指名されるのか、NFLで活躍できるのか否かを、興味深く見ていきたいと思います。

2018/03/09

ブラックサンタことマイケル・ベネットへ送るグッドバイ

チームの大改革が予想されているシアトル・シーホークスですが、その先手を切って、DEマイケル・ベネットさんがフィラデルフィア・イーグルスへ移籍することになりました。シーホークスのマイケル・ベネット+7巡指名権と、イーグルスのWRマーカス・ジョンソン+5巡指名権のトレードです。

あー、寂しい。

ベネットさんは長ーい感謝の言葉をインスタに綴っていました。いつもサポートしてくれた奥さんへ。オーナーのポール・アレンさん始め、GMシュナイダー、HCキャロルさん、スタッフの皆さんへ。それぞれの結婚・出産を含め、あらゆることを分かち合ってきたチームメイトの兄弟たちへ。そしてシアトルの街へ。ファンの皆さんへ。

今まで応援してきた選手がいなくなってしまうのは、本当に寂しいもんですが、どんなことにも終わりは来る。あのプレイ、あの試合、心が躍るあの瞬間を目撃する機会に恵まれたことに感謝するだけです。あの一瞬の輝きは忘れんよ。

ベネットさんのセクシーなサックダンス。腰を回すのをやめてからは、拳を掲げる抗議のポーズ。NFC決勝で勝った後、警官の自転車に乗ってのビクトリーラン。

「黒人は警察から盗みはできない。悪いことが起こるんだ。だからオレは盗んだんじゃないよ。借りただけ。そういう話にしとく」

なんて後で説明していました。インタビューではいつも面白い言葉を残してくれていたので、そういうのが聞けなくなるのも残念。シアトルタイムスがベネット語録を集めていたので、いくつか紹介してみます。


「毎日起きて、鏡を見てこう言うんだ『チェッ、いい男じゃないか』って。そしたらストレスとかないだろ」

「自分の髭が大好きだ。モーゼにもあったし、ジンギスカンにもあった。いいヤツには髭があるんだよ。キリストにもあっただろ?」

「世界で一番金を持ってるホームレスに見られたいな」

「(オレのサックダンスは)天使が二人でダンスしてるんだ。チョコレートが天国から流れてるところで。日曜の朝にね」

などなど。

地域のコミュニティに貢献し、ベネット基金では子どもたちの健康についての活動をしてきました。また、奥さんの地元ハワイでは無料のフットボールキャンプを開催しています。政治的にも、自分の姿勢をはっきりと示し、昨シーズンは国歌斉唱時に座っていましたよね。批判する人もいましたが、自分の信念に沿って行動する勇気には拍手を送りたい。

怪我を抱えながら、昨年は931スナップをプレイ。イーグルスのディフェンスラインでは、一番プレイした選手でも662スナップとのこと。どんだけシーホークスで酷使してきたの・・・という気もしますが、新天地フィラデルフィアでも活躍してほしいです。

今年のレギュラーシーズンは、シーホークス対イーグルス戦はありませんが、ひょっとしてプレイオフで対戦する機会があるかも?ラッセル・ウィルソンをサックするマイケル・ベネットって見たいような、見たくないような・・・。




2018/03/05

NFLスターも驚いたシャキーム・グリフィンの速さ!

セントラル・フロリダ大学のLBシャキーム・グリフィンくんがコンバインの話題をさらっています。本日の40ヤードダッシュでは4.38秒を記録。ラインバッカーとしては、コンバイン始まって以来のベストタイムとのこと。

「ママ、誕生日おめでと」と、この場を借りてアナウンスしてたのが良かったですね!ママはうれしいよ、うん。

この4.38ってどのくらい速いのか、ちょっと分かんないですけど、過去にコンバインに参加したNFL選手と比べるとこんなかんじ。

オデル・ベッカムより、フリオ・ジョーンズより速い!え?!すっごいやん!

ご存知の方も多いと思いますが、シャキームくんはシーホークスCBシャキール・グリフィンの双子の弟。シャキールくんも昨年同タイムを記録していました。知らんかった。快速双子兄弟なんですね。ちなみにCBシャキールは194パウンド(88 kg)、LBシャキームは227バウンド(103 kg)。

「おまえ重くなったから4.3台はムリだろ。4.4台でいいんじゃね?」とCBシャキールが言うから「は?オレにできねーと思ってんの?」って言ってやったんだよね――とニコニコして語っていたシャキームくんです。

さて、このタイムに一瞬唖然とし、喜んでいたピート・キャロルコーチ。

兄弟だから足の速いの知っていたはずなのに、口がポカーンってw

シャキームくんと面談するとGMシュナイダーさんは言っていましたが、実際のドラフトではどうなるのでしょうか。シーホークスに来てほしいとは思うけど、そんなふうにうまくはいかないよね。

さて、この記録にはNFLスター選手も驚きの声を上げていましたよ!ヒューヒュー!(口笛の音)

前日には、義手を使ってのベンチプレス(225パウンド=102 kg)で20回を記録。ここでも注目を浴びていました。


これまでの自己最高記録は11回。コンバインでの目標は6回と控えめでしたが、周りの雰囲気、みんなの声援で20回も上げることができました。義手が使えるようになる前、大学1年の時には45パウンド(20 kg)も上げることができなかったということです。

大学3年までは、なかなか試合に出場できませんでした。シャキールは先発として実績を上げているのに自分はデプスチャートの底。試合のテレビ放送を、しーんとした大学の寮でひとり観戦する苦痛。気が落ち込んでも、誰にも打ち明けることはできませんでした。シャキールの前では特に陽気に振舞うよう心掛けました。

主力選手は夏休みも学校に残って練習するのに、戦力外選手は家へ帰された夏休みが一番つらかったとシャキームくんは語っています。

いつも一緒ににフットボールをしてきた兄弟と、生まれて初めて離れて過ごした夏。父を手伝って、朝7時から自動車牽引の仕事をしました。午後6時に仕事が終わると、地元の高校の陸上チームに混じってトレーニング。午後8時からはもう一人の兄と一緒に、オフィス清掃の仕事を午前0時まで。月曜から土曜まで、そんな毎日を過ごしました。

そんな彼がコンバインでこんなに注目されるようになるなんて。喜んでいる人がたくさんいるでしょう。家族もコーチも学校の友達も。私も親戚のおばさんになったみたいに喜んでいますよ。シャキームがプロでも大活躍できるよう仏様にお願いするよ!

関係者によると、指名されるのは3または4巡あたりが順当ということですが、どうなることやら。「GMから指名の電話が来たとき、シャキールはクールに返事してたけど、オレはそんなことできないよ、泣いちゃうよ」と語っていたシャキームくん。ニコニコして笑顔がとってもかわいいんですよ。見てやってください。4月には泣いた顔がぜひ見たいなあ・・・。



2018/03/04

今年の生意気NO.1 ベイカー・メイフィールド

みなさん、こんにちは。長いオフシーズンをいかがお過ごしでしょうか。

さて、NFLはコンバインが始まりました。ドラフト候補生が体力測定をしたり、各チームと面接の機会を持ったりしているわけですが、さっそく生意気くんが大きな口を叩いていましたよ。その名はオクラホマ大学クォーターバック、ベイカー・メイフィールドくん。

今年のドラフト1位指名権を持つクリーブランド・ブラウンズが興味を示しているとも報道されていますが、その件について質問されると

「最初に言っとく。(僕を指名するなら)彼らは勝者を得ることになる。チームを上向きにできる人がいるとすれば、それは僕だ。僕なら正しい方向へ導くことができる。昨シーズンは惜しかった。あと少しだった。メンツは揃っている。あと一人が必要だったんだ。違いを生み出せるクォーターバックが」

とコメント。「僕はどんな投球でもできる」「今回のドラフトの中で、最もパスの精度が高いQBだ。ダントツで」とも語っていました。そおーなんだ。さっすがアメリカ人ですね。みなぎる自信がまぶしすぎるぞ、おい。

2位指名権を握るニューヨーク・ジャイアンツも、イーライ・マニングの跡を継ぐ、未来のクォーターバックを指名するかもしれません。それについて聞かれると

「どのチームに行ったとしても、バックアップで収まるつもりはない。そんなことはしてこなかったし、これからもしない。前の人は押しのける。実力のある者が勝つんだ」

と、やる気満々。こんなルーキーが入ってきたら、イーライだって焦りを感じて、練習によりいっそう熱が入るのではないでしょうか。イーライ、ガンバ!

ベイカー・メイフィールドくんは今年、ハインズマン賞を受賞しています。6フィート1インチと小柄、スクランブルからビッグプレイを生み出すことが多いので、シーホークスのQBラッセル・ウィルソンさんと比べられることもしばしば。また、プレイ以外のことでジョニー・マンジールさんとも並べて批評されることも。

いちいち目立つことをして、その度ニュースになっていた彼。まずはサイドラインで自分の股座をつかみ、対戦相手をFがつく言葉で罵ったカンザス大学戦。



何をそんなにイキリ立っているのでありましょうか。カレッジの試合で。自分にカメラの焦点が合うのを重々承知した上での、この挑発的な態度。目立ちたがり屋なんだな・・・。

また他の試合では、試合後に相手のホームグラウンド中央にオハイオ州立大の旗を突き刺して、相手チームとファンのヒンシュクを買ったりもしていました。

さらに昨年は路上で泥酔し、警察官の尋問から逃げようとしてタックルされるという事件も。まあ、大学生なんだからハメを外して大酒を食らうこともあるでしょう。しかし、ビデオを見たら分かるけど、警察官が数人いる場で「逃げる」って。アルコールで判断力が緩んでいたのかもしれないけど、逃げるヤツ・・・。

「ニュース等から僕のイメージが作られているかもしれない。しかし僕は正直だ。自分を隠したりしない。ありのままを見てほしい。いつも残酷なほど正直なんだ。それが嫌いだという人もいるだろう。だってそれは稀なことだからね」

各チーム幹部との面会でも、自分自身をそのままぶつけると語るメイフィールドくん。「僕は生意気なんじゃない。自信があるだけなんだ」とも堂々と公言しておりました。

ブレット・ファーブが好きだそうですが、他のインタビューでは歌手ジャスティン・ティンバーレイクの大ファンだとも語っていました。ブレット・ファーブとジャスティンと、会えるとしたらどっちに会いたい?と聞かれ、答えはジャスティン。バックアップダンサーとして踊りたい――そんなQBです。

どこのチームに行くのか、NFLで活躍できるのか、またいろいろと話題を振りまいてくれるのか、と今後もいろいろ楽しみです。大学のプレイオフで負けた時は涙ぐんでたし、怒ったり調子に乗ったり、いろいろ感情の起伏が激しい人なんだと思うよね・・・。