2020/06/04

「国旗に敬意を示さない人には賛同できない」ドリュー・ブリーズが炎上した件

ミネソタ州ミネアポリスでの警官による黒人男性暴行死事件をきっかけに始まった抗議デモンストレーションは全米に広がり、1週間が経っても収まる様子はありません。夜間外出禁止令が出ているにもかかわらず続くデモ。警察による暴力、黒人が簡単に意味もなく殺される社会の変革を求めて、たくさんの人が声をあげています。

私はアメリカ国境の北に住んでいるので、直接の関係はありません。しかし毎日ニュースで流れる映像を見ていると、国民が我慢できない瀬戸際に来ている切迫感がじわじわと伝わってきます。

黒人男性が白人警官に殺される。こんな事件もう何回も聞いたし、見た。先月はジョギングしてた黒人青年が白人に射殺された事件の報道もあった。ニュースにはならなくても、黒人というだけで嫌疑をかけられる、連行される、暴行を受けることが日常茶飯事であることは容易に想像できます。現在でけでなく、アメリカ史上ずっと。

ポケットから手を出しておくこと、急な身動きをしないこと、怖くても走って逃げないこと、口論しないこと、理不尽でも従順に従うこと。警官に遭遇した時のルールを、黒人の子どもたちは何度も親に教えられて育ちます。

「自分の夫と息子が、無事に帰ってきますように、と祈りながら毎日送り出すんです」とテレビで話していた黒人のお母さん。こんなプレッシャーを毎日感じながら生活するってどんな?

Black Lives Matter (黒人の命だって大切なんだ)という運動について、NFLのファンならコリン・キャパニック選手のことが思い浮かぶでしょう。2016年に、国歌斉唱時に片膝をついて抗議の姿勢を貫きました。

あの時から何も変わってないじゃん。

ニューヨークやロサンゼルスで、店のガラスを破って盗みをしたり、建物に放火したりする暴徒を眺めながら、「キャパニックって、平和に抗議活動をしてたんだ」と改めて思いました。でも非難された。世の中も全く変わらない。警官による黒人殺人事件はこれからも続く。

社会が自分を守ってくれないのなら、自分が社会の規律を守る必要があるのだろうか?と思った人がいても不思議じゃない。騒ぎを大きくしたい過激派が先導し、それに乗った人もたくさんいるでしょう。それと同時に、普通の人々の行き場のない閉塞感や政治への不満が爆発したのではないでしょうか。

そんな時に飛び出したニューオーリンズ・セインツQBドリュー・ブリーズさんの「国旗に敬意を示さない人には賛同できない」宣言。

私は白目をむきました。ドリュー・・・。世の中見てないの・・・?わざわざ出てきてそんな事言わなくてもいいやんか・・・。

この発言の何が衝撃的かというと、Black Lives Matterの活動の意義をブリーズが全く理解していないこと。今のアメリカを動かす社会現象であり、NFLでもくすぶっている問題です。あの時から何も学んでないの?チームメイトと会話をしてないの?自分の幸せな白い世界しか見えてないのか・・・。

僕のおじいちゃんは戦争に行ったんだよ。星条旗のために戦ったんだよ。と聞いても、あーそうそうよかったね、としか言えない気分。黒人兵士だって第二次世界大戦から帰ってきたけど、自分の国で虐げられたよ・・・。

ブリーズのこの発言は、チームメイトをはじめ、NFLの各選手から反論を招きました。マルコム・ジェンキンスさんは「なんで分かってくれないの」と涙声。

すると間もなく、グリーンベイ・パッカーズのQBアーロン・ロジャースさんが「いやいや、あれは国歌とか国旗について抗議してたワケじゃないスから」と発言する展開に。はや!



黒人選手だけじゃなくて、白人選手もどんどん意見を発表するのはとても良いことだと思います。この件に関しては、まず、今年のドラフト1位ジョー・バロウくんが真っ先に発言していました。


ブラックコミュニティはみんなの助けが必要だ。ずっと長い間、彼らの声は届かないままだった。耳を済ませて聞き、語ろう。これは政治がどうとかじゃない。人権の問題だ。

かっこよ。

シーホークスのLBボビー・ワグナーさん自身もデモに参加したと語っていたし、テキサンズQBデショーン・ワトソンくんのデモ参加写真も見ました。探してまたアップしますね。

普通に生活する黒人の人たちの大変さがわかる映画「ヘイト・ユー・ギブ」もおすすめです。

いったいアメリカどこへ行く・・・。

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