2018/10/19

シーホークスを救い、地域に貢献したポール・アレンさんに合掌

先日のことですが、外はもう真っ暗な帰宅途中「さ~本日のシーホークスニュースは何かな~」とツイッターを開けたら、選手たちの追悼ツイートが続々流れて来て唖然としました。シーホークスのオーナー、ポール・アレンさんが亡くなったって。えぇ・・・。

突然の訃報。確かにこの前、悪性リンパ腫が戻ってきたことを公表していました。治療を開始し、医師団は経過を楽観視していると語っていたのに。人の命のはかなさよ。


元シーホークスのRBマーショーン・リンチマイケル・ベネットさんも心にしみる言葉を残していました。「惜しみなく援助する心、優しい気遣いに今も感謝しています」と。

パッカーズに行っちゃったジミー・グラハムさんは、記者の質問に答えて

「親しくしてもらっていた。膝の故障の際には親身になって助けてくれた。ご家族のことを思うと心が痛む。素晴らしい人だった。自分より他人を思いやり、受け入れてくれた。僕のキャリアの中でも重要な、本当に助けが必要だった時に」

と語っています。ロッカールームや練習施設に顔を出して、選手たちに声をかけて、彼らの私生活も気にかけて、チームを応援してたんだなと思います。

HCピート・キャロルさんは、アレンさんに会って感銘を受け、シーホークスのコーチになることを決めたと語っていました。そうでなければUSCに残っていたと。

オーナーでありながら、威張って外に出てこない。チームの運営は信頼するGMとヘッドコーチに託し、自分はプレイオフのホームゲームで旗を揚げて会場を盛り上げるのみ。3歩下がって、チームとファンと地元シアトルを静かに応援してくれていました。

遠くから見ていると、なぜか回りになじめないようなイメージ。ひょっとして教室の隅っこに座っている、人付き合いが苦手な子どもだったんじゃないの・・・と勝手に思っていました。そういう主流から外れた、アウトサイダー的なところが好きでした。

ファンにもチームにも愛されていたオーナーですが、もともとアレンさんはNFLの大ファンというわけではありませんでした。それよりも大好きだったのがバスケットボールで、1988年にポートランド・トレイルブレイザーズのオーナーになりました。

1996年当時、シーホークスのオーナー(カリフォルニア出身の不動産デベロッパー)はシーホークスをアナハイムに移動しようと、大きなトラックに荷物を積み始めました。そこで、チームをシアトルに残したいと願う地元の権力者が、ポール・アレンさんに買収を嘆願。プロフェッショナルチームを即座に買えるような人は、この人しかいませんでした。

ビジネスとしてではなく、自分の住む地域への責任という意味でアレンさんも買収を納得。それまで使用していたキングドームは老朽化のため、新しいスタジアムを建設する必要もありました。シーホークスがシアトルに留まり、新スタジアム建設費用の一部を税金で賄うことに賛成かを問う投票がワシントン州で行われることになりました。賛成多数ならば、アレンさんがチームを買収しスタジアムを建設。反対ならこの話は無かったことに。

州民投票は僅かの差で賛成多数で可決。シーホークスはシアトルに留まることになったのでした。あー、よかった。

シアトルだけではなく、プロフェッショナルチームは地域と密接な関係を持っています。チーム全体として慈善活動に協力したり、選手が自分のチャリティ団体を立ち上げたり。地域の振興・福祉に大きな力となり、試合をすれば街全体が盛り上がる。それが無くなるなんて、考えただけでも恐ろしい・・・。

ポール・アレンさんはシアトルを中心に科学技術、環境保全、教育、文化等様々な活動に私財を投じました。ポップカルチャー博物館、戦闘機博物館、脳細胞の研究、象の保護、宇宙開発。多彩な人で、インターネットの幼少期に、スポーツ専門のウェブサイトのラフスケッチを書いたりもしていました。



また、音楽界の大物クインシー・ジョーンズさんは、「ポール・アレンはジミ・ヘンドリックス並にギターと歌が上手い」と、かつてインタビューの際に発言しています。アレンさんのでかいヨットの上で、デビッド・クロスビー、ジョー・ウォルシュ、ショーン・レノン、スティービー・ワンダーと一緒に演奏して「むっちゃウマ」だったって。

シーホークスのスーパーボウル祝賀会でもギターを披露していたそうです。

アレンさん、本当にありがとうございました。天国からシーホークスを応援しててね!!!





4 件のコメント:

  1. 私もHanaさんと同じくこの訃報をtwitterで見たとき、言葉を失いました。
    恥ずかしながらこちらに移り住んだ当初は存じ上げておらず、調べてみて様々な分野で活躍されている事を知り、衝撃を受けました。

    もう1度ヴィンス・ロンバルディ・トロフィーを掲げる姿を見たかったな。

    R.I.P.

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    1. 私もいろいろ知らなかったんですが、本当に地元(というか世の中に)に貢献してくれたことに感謝しています。これ以上のオーナーってなかなか見つからないような気がします。
      妹さんが引き継いでくれれば嬉しいけど、どうなんでしょうか・・・。

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  2. アメリカンスポーツのオーナーってなんかいいですよね。日本のプロスポーツでオーナーが観客の拍手を浴びるなんてことはないですし。
    アレンさんは違った様ですが、選手起用に言及したり、政治的な問題にまで首を突っ込んだり。良くも悪くもオーナーの気質がチームに反映されやすい感じがします。
    新時代のSEAを見られないことは無念でしょうが、自由なSEAの空気感を作ったアレンさんは間違いなく素晴らしいオーナーでした。

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    1. コメントありがとうございます。
      アレンさん、ほんとうに残念です。地元のためにチームを救ってくれたことがファンにとっては大きいと思います。自由な雰囲気がずっと続くといいな・・・。

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