2019/04/08

QBロジャースとHCマッカーシーをめぐるグリーンベイの確執

まあ人がふたりいれば、意見の違いがあったり、気に食わないところが出たりするのは当たり前のことじゃないですか。最近ではスティーラーズのゴタゴタが話題になりましたが、ペイトリオッツでも、シーホークスでも不協和音が流れたことがあります。だからグリーンベイ・パッカーズのクォーターバックとヘッドコーチが不仲であったと聞いてもなんの不思議もないんですが。

昨シーズンは、コーチのプレイコールをQBロジャースがかなり無視していると報道され、第13週でカーディナルスに負けた時には、チームがコーチを見限ったようにも見えました。シーズン終了を待たずにHCマッカーシーは解雇され、パッカーズは6勝9敗1分、ディビジョン3位に屈しました。

QBアーロン・ロジャースとHCマイク・マッカーシーの間に一体何があったのか。もっと勝てるはずのパッカーズが、スーパーボウル優勝ひとつ、過去2年間負け越し(13勝18敗1分)でマッカーシー時代を閉じたのはなぜなのか。グリーンベイの内部事情を明らかにする記事が発表されたので、少し紹介してみます。



2005年ドラフト全体1位でサンフランシスコ・49ersはQBアレックス・スミスを指名。地元カリフォルニア州出身であり、トップQBとも評価されていたアーロン・ロジャースは24番目でバッカーズに指名されることになるのですが、この時49ersでオフェンシブコーディネーターをしていたのがマッカーシーでした。

「アーロンはずっとマイクが気に入らなかったんだ。自分を指名できたのにしなかった。そいつがコーチになったのさ。アレックス・スミスの方が良いQBだとマイクは実際に語ったこともある。それでアーロンが腹を立てていた」

と語るのは2007年から2012年まで在籍したRBライアン・グラント。「それがロッカールームの大きなガンだった。みんな知っていた」と語る選手も。

3年間QBブレット・ファーブのバックアップを務め、4年目から先発となったロジャースは2011年にパッカーズをスーパーボウル優勝に導くわけですが、常勝チームであった頃からヘッドコーチへの批判は絶えませんでした。

プレイコールが良くない。選手選びを間違っている。マッカーシーはとんだ笑い者で、QBである自分がいつも後始末をしているんだ。

「マイクのフットボールIQは低いって、アーロンはよく言っていた。今までのコーチの中で一番低い。低い部類のひとりだ。そう言っていた」

NFLのオフェンスが進化するにもかかわらず、頑固に従来のプレイコールを繰り返すだけのマッカーシーに、ロジャースはますます不満を募らせます。同じルートを7年間ずっと走り続けたせいで、同ディビジョンのライバルチームがスナップ前に見破るほどだったと語る関係者も。

また、オフェンスマインドのヘッドコーチであるマッカーシーはディフェンスへの興味が薄く、ディフェンス選手からの不平も出ました。

「オレ達は関係ないんだ。オフェンスマインドのチームだから、クォーターバックがなんとかしてくれるだろ。そんなことをディフェンスの選手は言っていた。今日の練習ではあっちの尻を叩いてやったけど、いつオレ達を認めてくれるのかね?って」

結果としてディフェンス側の士気が下がり、ロジャースが欠場する試合では、早々に諦めて、全力を尽くすことを惜しむ選手も。

チーム内での結束が揺らぐ中、アーロン・ロジャースは建設的な意見の交換よりも、試合中に怒りを爆発させることを好みました。例えば、ベンチに向かって「このクソコールが!stupid fucking call!」と怒鳴ること。(2017年3週目)



「アーロンが面と向かってマイクに問題提起することはない。1度や2度はあったのかもしれないが、ほとんどないだろう。それが問題をこじらせ、毒になった」

2006-2012年パッカーズに在籍したWRグレッグ・ジェニングスは、すぐ機嫌を損ねるロジャースが一番の問題だったと語ります。バイキングスに移籍したブレット・ファーブと試合前に会話をすると、「なぜそんなことをする必要がある?」と後でロジャースに叱られました。

2012年に試合中のフィールドで「なぜそんなに短いルートをたくさん走るのか」と49ersのコーナーバックに聞かれたWRジェニングスが「契約が今年で最後なんだよ」と答えると、ロジャースがやって来て「シーズンが終わったらもらってやってくれ」と49ers選手に語ったという話も。

気に入らない選手は干すこともあるというロジャース。そのひとりが2014年7巡指名WRジェフ・ジャニスであり、また、新人レシーバーはコーチが指示したルートを走るのか、それとQBに従うのかで厳しい立場に置かれることに。ロジャースを怒らせたらボールが回ってこない。自分の力を見てもらうことができなくなる。

ベテランなら、プレイコールを変更するロジャースの即興に対応できても、ルーキーは戸惑うことがほとんど。新人を育てるつもりはなく、信頼もせず、オープンになっても新人は見過ごされ、昨シーズンはWRデバンテ・アダムスにパスが集まったといいます。

自分の権威をないがしろにされるHCマッカーシーは、次第にアシスタントコーチの役割を増やし、ミーティングを任せて自分が欠席することもあったといいます。その間にマッサージを受け入ていたとこの記事では報道され、マッカーシーはそれについては後日否定しています。

また記事の発表後、ロジャースを擁護する選手も、さらに非難する選手も何人か出ています。

ロジャースが先発QBとなってからHCマッカーシーと共にしたのは11年。その間にロジャースは24歳から35歳に。と思うと唖然としませんか?

試合に勝つ、スーパーボウルで優勝する、という同じ目標があったのに。二人ともプロフェッショナルのはずなのに、一体なんでこうなった。スーパースターのエゴとかヘッドコーチ第一人者の意地みたいなのもあったと思うけど、なぜ歩み寄ることができなかったのか。

采配に文句があるなら、もっといいやり方を一緒に考えたらいいじゃないか。コーチだってQBに「お前ホント扱いにくいわー」ってボヤいたらいい。双方が、これじゃまずいと思っていたはずなのに、「お互い気に入らんけど、勝つチームを一緒に作ろう」って握手することができなかったのは、なぜ。

たかがフットボールなんですけどね。生きていくのっていろいろ難しい・・。

バッカーズには新コーチが就任しましたから、今シーズンはコーチとロジャースの関係に注目が集まるでしょう。新コーチが決まった後、パッカーズ社長マーフィはQBに電話し、「問題を起こすなよ」と伝えたと報道されています。

ということで、パッカーズ劇場も興味津々・・・。

4 件のコメント:

  1. too many men on the fieldやhard countが上手いQBは、性格悪い率高い気がします。
    性格いいのは良いことだけど、ウィルソンはもうちょい上手くなってほしいです。

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    1. ははは。確かに、抜け目のないウィルソンって想像するのがむずかしいです笑

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  2. この件で一番損してるのはロジャースだと思います。
    選手として一番脂ののっていた時期をHCとの確執で台無しにして、現役ナンバーワンの実力を持つQBとされながら先発初年度以外リングをとれていないからです。(ロジャースとHCの喧嘩に巻き込まれた選手たちが最も不幸という見方もできますが)
    自分のプレーに自信があってプライドが高いことは結構ですが、そのプライドが邪魔して結果を出せないようではエースとしては1.5流というとこでしょうか。
    ロジャースくらい自分大好きなら短い選手生命を最大限生かすためにもうちょっと建設的な方策(HC追い出し直訴か、トレード志願するか)をとりそうですが、拗ねて周りにあたるだけとは意外とお子ちゃまというか…
    華があって実力も個人能力もリーグのベストのQBだっただけにもったいないと感じてしまいます。

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    1. お子ちゃま・・笑。持って生まれた性格は、治そうと思ったって無理っぽいですよね、誰でも。でも今シーズンは、ロジャースはリベンジを含めガンガンくるんじゃないでしょうか。こんなこと書かれて、もうコーチと仲良くせざる負えないし。どんなふうになるのか結構楽しみです。

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