2021/04/21

アスリートにナニクソ根性は必要なのか トレバー・ローレンスの場合

みなさんこんにちは。NFLドラフトがいよいよ来週に迫りました。3つしか指名権のないシーホークスは一体どうする?とか、いろいろ気になっております。

今日は、全体1位指名確実と言われるクレムゾン大学QBトレバー・ローレンスくんについて書いてみたいと思います。先日、スポーツイラストレイテッド誌の記事で、「誰かを見返してやろうとか、そういう闘争心はない」と答えて、話題になってました。

例えば、6巡まで指名されなかった(ブレイディ)、背が低いためプロになれないと言われた(ラッセル・ウィルソン)、地元の49ersにスルーされた(ロジャース)、ワイドレシーバーへの転向を勧められた(ラマー・ジャクソン)、トルビスキーが先に指名された(マホームズ)、などなど。

「お前はムリ。ダメ」という烙印を押されたことで「クソ!チクショー!」と闘志をメラメラ燃やし、その結果、プロ選手として成功するパターンは多くあります。「侮った奴らにオレの力を証明してやる!」という気迫が、大きなエネルギーになる訳です。

ところが、ローレンスくんにはそれがない。

「ベストな自分になりたいからフットボールをする。自分の可能性を最大限に試したい。誰だってそう思うはずだ。じゃなかったら、自分を無駄にすることになる」

「説明が難しいな。フットボールには情熱を持っていて、それが僕にとって一番大切なことだ。だけど、何かを証明しようとか、誰かを見返そうとか、そんな気持ちはない。作れないし、作ろうとも思わない」

と言う彼。一方で、父親は

「彼は賞が欲しいわけじゃない。『何が何でもスーパーボウルを手に入れる』というタイプじゃないんだ」

と語り、彼をよく知る高校時代のコーチは

「明日フットボールをやめたとしても、普通に生きていくと思うよ」と、こだわりのない彼の様子を語ります。

エルウェイ、ペイトン・マニング、アンドリュー・ラック以来の有望選手と言われているトレバー・ローレンスは、幼少の頃からスターでした。

7歳で、すでに30メートルのミサイル弾を投げたといいます。

自分の息子をクォーターバックするつもりだったユースチームのコーチは、これを見て「この子と同じ町に住んでる限りクォーターバックはムリ」と、息子をワイドレーシーバーに。

トップレシーバーだったその息子も、成長するにつれ、ポジションの保持が難しくなります。ローレンスの球をキャッチしたいと、優秀な選手がぞくぞく集まってきたからです。

「いろんな所から編入生が来た。ついていくために一生懸命頑張ったよ。だけど中3の頃にはもう限界だった。みんな上手すぎた」

高校1年で先発QBとなり、先輩QBはタイトエンドに転向。試合の日は遠くから観客が押し寄せ、スタジアムは常に満席。立ち見席も出ました。試合後の地元レストランは大繁盛し、市長よりも有名な高校生に。

超エリート選手としてリクルートされ、クレムゾン大学に入学すると、4試合後には先発の座を奪い取り、1年目で全米チャンピオンに輝きます。

スター街道まっしぐら。挫折のカケラもありません。「ナニクソ根性」なんて生まれる余地はどこにもなし。

4歳年上の兄、チェイスくんの存在もあります。

仲が良く、弟のフットボールはもちろん応援しますが、スポーツには全く関心なし。個人的に知っている人が出場するわけでもない試合を観戦する人々がいるという事実が、彼には理解不能とのこと。

アートに興味があり、サイケデリックにも染まり、「まあいろいろやったけど・・人生をダメにはしてないさ」と語る、ヒッピー風の兄貴。

汗流して練習から帰ってきたら、カウチで兄貴が何か煙みたいなものを吸いながら「ヘイ、トレバー。元気かい?」なんつって映画なんか見てたら、どうします?いやー、人間っていろいろ、って思うしかないよね。

中学、高校と全米に名前が響き渡るにつれ、慢心も出るでしょう。その反面、悪口も多く聞くだろうし、そういうグチャグチャした成長期に「フットボールとかどうでもいい」という人が身近にいるって、安心するものじゃないでしょうか。

父親もまた、「神様はお前に素晴らしい才能をくれた。しかし、いずれはフットボールから得るものより、失くすものが多くなる。その時はやめなさい」と高校の時からアドバイスしてきました。

フットボールが大好き。才能も実力も自信もある。自分のベストを極めようと思う。しかし人生はフットボールだけではないことも知っている。って、なんと達観したルーキーでしょうか。

カレッジ最後の試合は全米選手権準決勝でオハイオ州立大学にボロ負けしました。「僕にできることはすべてやった。あの時点で、自分にもっと何かできるはずだ、と思うなら、それは自分が愚か」といたってクール。

ついこの間、長年の彼女と結婚式を挙げました。この時期の結婚に疑問を唱える人もいましたが、

「他人の目に奇妙に映るからといって、3年待つなんてことはしない。どうでもいい」

「ずっと一緒にいたい、結婚したい、生涯を共に過ごしたい人を見つけるって、誰にとっても重要なことだよね。それを僕たちはすでに見つけたんだ・・・最高じゃないか」

とも話しています。

下は2年前、大学のプレゼンテーションの様子ですが、「僕のヘアのお手入れ方法」というタイトル。

そんでタイトルの下に「トレバー・タッチダウンジーザス・ローレンス」と名前が。

自分をネタにするという、こういう客観的なところ、感心しちゃいます。外から自分を見れるって、大きな武器になるんじゃないかな。

とはいえ、ジャクソンビル・ジャガーズのQBになってですね、1年目からガンガン勝てるハズはないですよね?5連敗、6連敗とかなっちゃって、批判を浴びたりするでしょう?

そうなった時にどうするのか。カレッジでは2回しか負けたことがない人が、その苦境にどう立ち向かうのか、そんなところが見てみたい。

ジャガーズは、カレッジ出身のヘッドコーチ、アーバン・マイヤーが就任したことでも注目されています。いろいろ話題を提供してくれるでしょう。大いに期待したいです❗❗

2021/04/15

デショーン・ワトソンの光と闇

みなさんこんにちは。ドラフトを目の前に控えた今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。本日は、ヒューストン・テキサンズQBデショーン・ワトソンをめぐる訴訟について書きたいと思います。

ワトソンといえば、プロ入りした年に、初任給を全額ハリケーンの被害にあった球場カフェテリア職員に寄付したこともありましたよね。チャリティ活動にも熱心で、リーダーとして人望も厚いと聞いていました。

クォーターバックの実力は誰もが認めるところ。昨年最後の試合の後、チームメートのワットさんが「(こんなチームで)ゴメン。(QBとしての貴重な)1年を無駄にさせちゃったな」と声をかけるシーンには、しんみりうなずく人も多かったのではと思います。

それが、今回の事件でワトソンに対する評価は一変しました。

まだ裁判は始まっていません。何も立証されてはいませんが、数々の報道から、かなり異常な状態が明らかになっています。「いや、人間って、本当に分からないものだな」というのが、今の率直な感想。

事の起こりは3月16日。ヒューストンの弁護士トニー・バズビーが、テキサンズQBへの民事訴訟を行うとインスタグラムに投稿。

一方ワトソンはツイッターで「訴えの内容は見ていないが、女性には常に敬意ある態度で接してきた。訴訟側は根拠のない6ケタ(千万円台)の示談金を要求した」と即刻反論しました。

ちょうど彼がトレードを要求していた時期。テキサンズのオーナーとバズビーとの陰謀か、という声も。(でもワトソンの株を落としてトレード対価が下がるのはチームとしては不利)

また、このバズビーという人が、市長選挙に立候補して負けたり、「ジョニー・マンジールをドラフト指名しろ」とビルボードを出したり、かなり癖の強そうな人物。インスタグラムで告発するという手順もどうなのか。「うさんくさ・・」という第一印象でした。

以後、複数のマッサージセラピストが、施術中にワトソンが不適切な行為(性器の露出、性器での接触、オーラルセックスの強要など)をしたと訴え、その数は現在22人。

ワトソンの弁護団は「彼はそんなことはしない」と主張するマッサージセラピストが18人いると発表しましたが、これって弁護になるの???

だってこれだけで計40人。40!!!

一般の人だって歯医者さんや美容師さんや整体師とか、決まった人のところに行くのが普通じゃないですか。プロのアスリートともなれば、トレーナー、コンディショニングコーチ、栄養士など固定スタッフがいるはず。不特定多数の人に自分の体を触らせるとは考えにくい。

現に、17年間NFLのチームドクターをしていた方が、そんな話は聞いたことがないと語っています。

「マッサージセラピストはチーム施設にもいる。怪我の予防、疲労回復、リハビリの一環として治療の一部になっている。アスリートは習慣を大切にし、いつものやり方を好むものだ。ホテル代を払っても自分のセラピストを遠征先に呼ぶ選手は多い。ワトソンはもうルーキーじゃない。セラピスト探しは終わってるはずで、人を乗り換える理由が分からない」

さらに、インスタグラムのメッセージでセラピストに連絡していたことも疑問です。NFLのクォーターバックですよ。知人を通して信頼できる人を紹介してもらうのが普通じゃないの?有名人だからこそ慎重になるんじゃないの?ランダムにネットで探して連絡するってどうなの?

原告の一人は、ワトソンがインスタグラムで予約を入れ、アトランタからヒューストンのホテルへ飛行機で向かったと証言しています。2020年の8月。パンデミックの真っ只中。トレーニングキャンプが中止になるほど感染症対策している時期に、ありえない。

衝撃的だったのが、スポーツ・イラストレイテッド誌の記事です。デマを売るようなメディアではありません。確信がなければ配信はしないはず。本文中でも、セラピストの家族から当時の証言、電話とソーシャルメディアのメッセージを確認をして、裏付けを取ったと説明しています。

記事中のマッサージセラピストは、告訴中の一人ではありません。ワトソンが施術中に触ったり、性行為を要求もしたわけでもない。そう前置きして、彼の行為を語っています。

2019年秋、知人セラピストからの紹介で引き受けた仕事でした。あらかじめ、顧客からビルの裏口から入ること、体を覆うのはシーツではなくタオルを使用するリクエストがあり、彼女は大きめのビーチタオルを用意しました。

一般にマッサージは、身体をシーツで覆い、施術する部分だけ肌を出すという方法を取ります。そのようにして45分程経った時、ワトソンは「かゆい」とタオルを床に落としました。顔は天井を向いた、裸の姿。1000人以上の顧客を持ち、数年マッサージの仕事をしてきた彼女ですが、こんなことは初めてでした。

「驚きました。でも、紹介してくれたセラピストを信頼していたので、変なことにはならないはずだと思ったんです」

90分が終わると、ワトソンは1時間の延長を願い出ました。彼の要求どおりに大腿、腹部のマッサージを続けるうちに、勃起に気がつきました。体を固くし、ゆっくり突き上げるような動きもしています。

マッサージが強すぎて痛いのかと思い、ワトソンに尋ねると「大丈夫」という答え。動きも止まりました。

身体がリラックスした反応で勃起する場合があることは、セラピストとしての訓練中に学んでいました。居眠りの間に勃起し、目が覚めてばつが悪い様子の顧客もいました。しかしワトソンの意図は、それとは違うと彼女は感じました。

「必要なら(ペニスを)動かしてもいい。そう彼は言いました。私は完全に無視しました」

2時間半のセッション中、ワトソンはずっと仰向け。腹部をマッサージする時に、体液を目にします。これは射精前の体液なのだろうか、そんなはずはない。彼女は自分に言い聞かせました。

終了5−10分前に、彼は骨盤を突き立てる動きを始めました。今度はかなり早いペースで。

「この時点で、私ははっきり理解しました」

落ち着くよう伝えると、彼は動きを止め、施術が終了したので部屋を退出。服を着て戻ってくると、彼女にハグをしました。ビルの裏口へと案内した後、彼女はすぐにこのことを紹介先のセラピストに報告。家族にも電話しました。

後日、ワトソンから再び予約の連絡が入りましたが、彼女は断りました。その後数ヶ月の間に、インスタグラムのダイレクトメッセージでワトソンから2度連絡が来ましたが、彼女であることに気づいていない様子でした。

「以前マッサージしたことがある。態度を改めるなら引き受けてもよい。しかし本来のマッサージにのみ限る」と伝えると、「わかった。そんなつもりは無かった」との返事が来て終わり。

2020年秋にもインスタグラムでメッセージが届きましたが、この時も、相手が誰か気づかない様子でした。彼女は、過去に交換したメッセージのスクリーンショットをワトソンに送信しました。

「もしワトソンがトレードされたら、新しい都市のマッサージセラピストが標的になる。彼が自分の行為を否定するなら、私達が声をあげなければ。真摯な謝罪をしてほしい。私達に、同じ仕事をする同僚に。困惑させる状況に私達を置いたことに。

すでに、たくさんの人が私達を非難しています。彼がそんなことをする訳がない。そんな必要がどこにある?彼には美しいガールフレンドがいる。彼なら何だって手に入る。そのとおりです。でも名声が人格を決めるわけじゃない」

と彼女は語っています。

裁判がどれくらい長く続くのか分かりません。密室で行われたことの証拠なんて出せるのでしょうか。ひとつ確かなことは、デショーン・ワトソンがフィールドに戻って来るということです。力のある選手をNFLのチームが見逃すことはないから。

はー、見たくない。なにがかゆいだ。つべこべ言わずにパンツをはけ!以上。

続く。

2021/04/08

それぞれのドラフト物語 ダク・プレスコット&ラッセル・ウィルソン

みなさんこんにちは。今月はいよいよドラフトです。有力候補とされている数人のクォーターバックが、どの順で、どのチームに指名されるのかが、まず気になるところ。

しかし、1巡で指名された選手が間違いなくプロで活躍できるのかというと、案外そうでもありません。下位に埋もれていた選手が、実はプロボウル選手になったりする。一筋縄ではいかないところが、NFLを観る楽しみでもあります。

そんな見過ごされたクォーターバックのひとり、ダク・プレスコットが、2016年ドラフト4巡でダラス・カウボーイズに指名されたいきさつを紹介したいと思います。

その年のドラフト1位はQBジャレット・ゴフ、2位がQBカーソン・ウェンツ。プレスコットの前に計7人のクォーターバックが指名されました。

ダラスは全体4位でまずRBエリオットを指名。続いて、当時36歳QBトニー・ロモの後継者にと、メンフィス大学QBパクストン・リンチを狙っていました。次の指名権は34位。1巡中盤でリンチ指名が予想されるため、ダラスは9チームに電話しトレードアップを打診します。

興味を持ったのが26位指名権を持つシアトル・シーホークス。ダラスは2巡(34位)、4巡(101位)を差し出しますが、シアトルは2巡と3巡を要求。

「どうする?」ダラスのドラフトルームに沈黙が落ちました。

結局、シアトルはよりよい条件を提示したデンバー・ブロンコスに指名権を譲り、QBリンチはブロンコスへ。

肩をガックリ落としたカウボーイズのオーナー、ジェリー・ジョーンズは、翌日、苦悩の表情でこう語りました。

「今朝起きた時、昨日の決断をひどく後悔した。なぜ3巡を出さなかったのかと。私はいつだって最高級品には最高金額を払ってきた。バーゲンの安物買いは悔やむことが多い。ダラスの高層ビルから飛び降りたりはしない。大きな視点で見ることにしよう。だが、もう一度同じような機会があれば、3巡は放出する」

ドラフト3日目、ダラスのQBドラフトボードにあった名前は、1)コナー・クック、2)ダク・プレスコット。

4巡は99位、100位クリーブランド・ブラウンズ、101位ダラスから指名が始まります。クックを指名したいダラスは、101位と翌年6巡をブラウンズにオファーしますが、断られました。その年の6巡2つは?と条件を上げても、ダメ。

その間にレイダーズがブラウンズから100位指名権を獲得し、QBクックを指名。またもやQB獲得に失敗したダラス・カウボーイズは、4巡後半の指名権でQBダク・プレスコットを指名することになったのでした。

パクストン・リンチはブロンコスで4試合を先発し、2018年に解雇。コナー・クックは昨年春にXFLチームでバックアップを務め、XFLは解散。

一方、135位で指名されたQBプレスコットはカウボーイズの先発QBとして活躍し、今年3月に4年約160億円という大型契約を結びました。補償金額126億円。パトリック・マホームズに次ぐNFL史上2位の高額契約です。

下がお兄さんと喜ぶプレスコット。どっちがどっちか分からんけど。

ダク・プレスコットは3人兄弟の一番下で、シングルマザーの家庭に育ちました。大学の時にお母さんを癌で亡くし、昨年は上のお兄さんが自殺。プレスコット本人も鬱で苦しんだことを公表していました。そんなこともあってのこの大型契約は、本当に感無量だったことでしょう。

2012年ドラフトではQBラッセル・ウィルソンが3巡75位でシアトル・シーホークスに指名されました。その年1位はアンドリュー・ラック、2位ロバート・グリフィン3世。ウィルソンの前に指名されたQBは5人。

前年の10月、シアトルのGMシュナイダーはウィスコンシン大学を訪問し、ウィルソンに深く惚れ込みました。チームに戻って、スタッフに熱い思いを語ると、

「5フィート10インチのクォーターバック?その身長じゃコーナーバックだって取らんわ」

と疑問の声があがります。しかし、身長を別にすればQBラックに引けを取らないという、シュナイダーの高評価は変わりません。

ウィルソンは3−4巡での指名になるだろうとの予測。3巡指名が始まると、シアトルのドラフトルームには緊張が張り詰めました。QBを取るかもしれないビルズ、ジャガーズ、チーフス。息をのんでそれぞれの指名を待ちました。

幸い、ビルズはレシーバー、ジャガーズはパンター、チーフスはオフェンシブタックルを指名し、シアトルはウィルソン指名に成功します。

「彼と話すのが待ちきれなかった」とシュナイダー。

フィラデルフィア・イーグルスも3巡でウィルソン獲得を狙っていましたが、先取りされた形になりました。当時のイーグルヘッドコーチ、アンディ・リードはシュナイダーに電話し、「いい指名だ」と祝福の言葉を贈ったということです。

ということで、何があるか分からないドラフト。駆け引きがあり、読み違いが。期待はずれがあり、思いがけない幸運が。喜びが、ドラマが。

今年はトップ数人のQBがやたら話題となっていますが、3巡とか4巡とか、もっと下位にも有力選手が潜んでいるのかもしれません。

4月29日のドラフトは、クリーブランドで開催されます。ドラフト候補生も招待されているようなので、フレッシュな顔を見るのがメチャ楽しみです。

2021/03/29

ひょっとしてトレバー・ローレンスより上かもしれないザック・ウィルソンの話

みなさんこんにちは。

先日、ブリカムヤング大学のプロディが行われ、QBザック・ウィルソンくんが注目を集めていました。左に流れながらの遠投に、QBトレバー・ローレンスくんも驚きの一言。

この日、ニューヨック・ジェッツはGM(ジェネラルマネージャー)、HC(ヘッドコーチ)、OC(オフェンシブコーディネーター)が揃ってプロディに出席。ナイナーズ、ファルコンズ、パンサーズ、ブロンコスのGMも参加していたようです。

噂に違わぬ強肩ウィルソンくん、ドラフト全体2位でジェッツ行き確定❗❗みたいな評判ですが、ここで、「トレバーよりザックが上やんけ」と唱えるクリス・シムズさんの説を紹介してみたいと思います。

クリス・シムズさんは元NFLクォーターバックで、現在は解説者として活躍中。昨年のドラフトではトゥア・タゴバイロアよりジャスティン・フィールドをを高く評価し、2018年にはベイカー・メイフィールド、サム・ダーノルドよりもラマー・ジャクソン、ジョシュ・アレンを評価、さらに2017年には大学で5勝7敗だったパトリック・マホームズを誰よりも高く評価していた方です。

「ウィルソンはアーロン・ロジャース、パトリック・マホームズとよく似ている。リリースがものすごく早い。どんな投げ方もできる。横から、上から、ジャンプしながら。肩の強さも超一流。カバー2の穴に、40ヤードのレーザー光線を放つ事ができる。万全の体勢でなくても60ヤード、70ヤードの爆弾を投げることができる。スーパースターだ」

とベタ褒めの様子。全体1位の呼び声高いトレバー・ローレンスについては

「1位指名に値する選手。素晴らしく肩が強い。しかしメカニクスには少し欠点がある。投球が逸れることがあるが、群を抜いた運動能力でカバーしている。体格も恵まれている。人に囲まれても上から投げることができる。投球については伸びしろがある。長身で力強いアスリートだ。ただ、投球に関しては去年のジャスティン・ハーバートの方が優れていたと思う」

とのこと。シムズさんによるランキングは、1ウィルソン、2ローレンス、3マック・ジョーンズ、4ケレン・モンド、5ジャスティン・フィールド 6トレイ・ランス という順番。

ディープボールをバシバシ決めるウィルソンくん、今シーズン30ヤード以上のパスは74%の成功率(27回中20回成功)です。こんなかんじ。


ユタ州出身のザック・ウィルソンくんは、家族でユタ大学ファンでしたが、入学のオファーはもらえず、かろうじてブリカムヤング大学に進学。9人のクォーターバックルームを勝ち抜いて先発に抜擢されますが、2年目は怪我の影響もあり低迷。先発ポジションの危機に直面します。

3年生シーズンを前にした昨年春、ウィルソンくんは、カリフォル二アのクォーターバックコーチの元へ通い詰めました。金曜午後ユタを出発し、到着は深夜。指導を受けたあと、日曜午後にはユタへ逆戻り。月曜は学校での練習がありました。片道10時間、1085 kmの道のりを毎週往復。

新型コロナのため大学の練習が中止になってからは、数週間カリフォルニアに留まり、フードデリバリーのアルバイトをしながら、練習を続けました。

春には無名だった選手が1年でドラフト株をメキメキ上げたのが、昨年のジョー・バロウ選手とよく似ています。ウィルソンくん自身も、2019年LSUバロウ選手のフィルムを繰り返し見て研究したと語っています。

ブリカムヤング大学の2020年は11勝1敗で、唯一の敗戦がコースタル・カロライナ大学戦でした。5点差を追う最後のドライブが、かなりイイ。

自陣9ヤード2nd &19のプレイをウィルソンくんは明確に記憶しています。フィルムの研究からディフェンスのカバーを読み、少しボールを持たなければならないが、右のバックショルダーならパスが通ると確信。左、ミドルを視線で牽制したあと右へ素早いパス。

「12プレイ続いたドライブの後、彼はすべてのプレイを説明できるんだ。順番に、何を見たか、どんな判断をしたのか、ディフェンスをどう攻略しようとしたか。こんな選手は見たことない」

とブリカムヤング大学のコーチが話しています。

コースタル・カロライナ戦のちょっと長めのハイライトはこちら。ザックやるね〜って感じです。

ということで、ウィルソンくんのNFLでの活躍も楽しみ。ジャガーズ首脳陣はOCベベルさんしかプロディに参加してなかったようなので、やはり1位指名ローレンスに決定済みかな❗

2021/03/25

ドラフトでWRデボンタ・スミスくんの行き先が気になる件

みなさんこんにちは。オフシーズンをいかがお過ごしでしょうか。

フリーエージェント市場真っ只中。続々と選手の契約が決まっています。来月はドラフトですが、今年はコンバインがないので、ドラフト候補生の情報も割と少なめ。クォーターバックくらいは調べようと思っていますが、まずは気になるワイドレシーバー、アラバマ大学のデボンタ・スミスくんを紹介してみます。

2020年のハイズマントロフィー受賞者となった彼。QBトレバー・ローレンス、QBマック・ジョーンズ、QBカイル・トラスクらの候補者を退け、レシーバーとしては29年ぶりの快挙です。

ご両親と地域の人たちがコミュニティセンターのホールみたいなとこで発表待ちしてるところも映ってました。小さな街の、地元のヒーローみたいな感じかな。

1月11日、全米大学フットボール選手権決勝では、アラバマ大学がオハイオ州立大を破り優勝しましたが、この試合でもスミスくんが大活躍。後半は怪我でベンチに下がったのですが、前半だけで3タッチダウン215ヤード。NBAのレブロン・ジェームズはじめ、マホームズJJ・ワットさんからも驚きの声が。

まあ見てください、この清々しい顔。体も心も健全な青少年にグサッと胸を突かれました。録画してた試合を再生して、わざわざ写真を撮っちゃった次第です。(下図)


ワイドレシーバーって派手目の人が多いじゃないですか。スミスくんは 違います。堅実。真面目。浮ついたところがない。プロに行ってもそれは変わることがない。(ドン!と机を叩く)

1年も経ったら顔なんか変わっちゃいますからね。大人になる前の一瞬の輝きを見せてもらって、本当に良かったです。

6フィート1インチ175ポンド(185cm 79kg)と細身の体つき。アラバマ大学のプロディには参加しませんでしたが、現在の体重が170ポンドと公表してスカウトをちょっとざわつかせました。そんな細くて大丈夫?ってことですね。

しかしルートランのスキルは超一流。解説している動画がこちら。

しかしながら、今年のドラフト、ワイドレシーバーはLSUのジャマー・チェイス選手がトップという評判です。この選手はスミスくんと同じ身長で体重が200ポンド。2019年にQBジョー・バロウ率いるLSUで全米チャンピオンとなり、2020年はオプトアウトしています。

スミスくんのチームメイト、アラバマ大WRジェイレン・ワドル選手も有力なドラフト候補なので、この3人がどんな順で指名されるのか、どのチームに指名されるのか、興味津々です。

ところで、スミスくんはカレッジフットボールの伝説ともなった「トゥアの逆転タッチダウン」をキャッチしたレシーバーでもあります。

2018年1月8日全米チャンピオン決定戦。前半無得点に終わったアラバマ大学は、後半クォーターバックに無名の1年生を投入。生き返ったオフェンスで、試合は延長戦にもつれ込む接戦に。サックされて大幅にヤードを失ったあと、最後の最後に逆転サヨナラタッチダウンを放ち、一躍スターとなったQBトゥア・タゴバイロア。

"True freshman to true fresh man!"って実況が叫んでますが、この時、スミスくんも大学に入ったばっかりの1年生。

で、スミスくんのツイートをのぞいてみると、一番最初に固定されてるのがこれでした。

メッセージをクリックして大きくしてみると、親しい友人とのやり取りです。

友人:おい、おい

スミス:なに?

友人:今何やってんの?

スミス:ミーティングに行くとこ

友人:今夜頑張れよ。応援してっぞ

スミス:いつもありがと

友人:今夜はお前が隠れたヒーローになる気がする。気を引き締めてけ。名前を呼ばれた時に準備万端でいろよ

スミス:もちろん

という会話を、2018年決勝戦の前に高校時代の地元の友人(たぶん)としているというドラマみたいな筋書き。

NFLでも 羽ばたく姿が見たいなー。

最近のモックドラフトでは、ライオンズが指名するかも?というのを見ましたが、さていったいどこのチームが獲得するのか。楽しみです。

2021/03/12

トレードが噂のQBラッセル・ウィルソンどこへ行くの巻

みなさんこんにちは。オフシーズンをいかがお過ごしでしょうか。

2021年シーズンが始まる3月17日を前に、選手がリリースされたり、フランチャイズタグをはられたりと、忙しそうなNFL界隈です。今年もまた、各チームともけっこう様変わりしそう。

そしてなんと、シアトル・シーホークスのQBラッセル・ウィルソンのトレードが噂になっています。シーズン終了時点では全く予想していなかった展開。ビックリです。一体なんでこうなった?ここまでの経緯をちょっと振り返ってみます。

事の起こりは2月9日のインタビューでした。

プロ入りから9年間、全試合出場はウィルソンとペイトン・マニングだけ。ウィルソンの被サックは今年47回でリーグ3番目に多い。8年連続で40回以上サックされており、これはリーグ記録。被サックはこれまで394回。このペースでいけば、あと3年(35歳)でNFL史上最もサックされたQBとなる。歴代1位ブレット・ファーブ525回(41歳)、2位トム・ブレイディ521回(43歳)と比較してもかなり多い。

という前置きがまず紹介されました。2日前のスーパーボウルが話題で、チーフスのオフェンシブラインがQBマホームズを守れなかった、バッカニアーズのTEグロンコウスキ、WRブラウン獲得にはQBブレイディが大きく影響した、などと語りつつ、当然シーホークスはどうなの?という方向に。

オフェンシブラインをもっと補強しないと。選手の獲得やチームの方針についても意見を出したい。というウィルソンの意向が、司会者のツッコミによって明らかに。

まあ、そりゃそうだよね、と思うわけです。スーパーボウルの際、観客席でコミッショナーと同席する暗〜いウィルソンが映っていました。若きマホームズ、まだ現役のブレイディを見て、オレは何処にいるんだろう、またSBに行けるのか、この先どういうキャリアを進むべきなのか、という考えが浮かぶのも自然なこと。

シアトルか・・・。オフェンシブライン問題ずっと改善されねーしな。もう10年か。環境を変えてみるのもいいかもしれない・・・。と思ったとしても何の不思議もありません。

しかしながら、プロ入り以来不満を一切述べたことがなく、お利口さんコメントばっかりと陰口を叩かれる程のウィルソンが、チームへの不信を初めて口にしたということで、業界に激震が走りました。(言い過ぎ?すんません)

シアトルのフロントは、ウィルソンが公に発言したことを遺憾に思っている、と情報筋が報告。ざわつき始めたところに、シアトル内部事情のスクープが報道されました。

2020年シーズン序盤はパスをガンガン投げて成功していたオフェンスが、中盤には攻略された。11月のビルズ戦ではウィルソンのターンオーバーが4つ(2インターセプト、2ファンブル)次のラムズ戦では3つ(2インターセプト、1ファンブル)。

アリゾナ戦の前、コーチ陣とのミーティングでウィルソンがオフェンス改善策を提示するが、即座に却下され、ウィルソンは嵐のように部屋を去った。

椅子を蹴っ飛ばしたりはしなかったでしょうが、ドアなんかバターン!!って閉めて、ドンドンと足を踏み鳴らして鼻息も荒く退場したのだと思います。フンッ。

ベテランのフランチャイズQBとしてチームの方針にもっと関わりたいウィルソンと、それを認めないコーチ、フロントとの亀裂は深い――ということらしい。

と、すかさず、ウィルソンのエージェントが「トレード要求してるわけじゃないけど、もし行くならカウボーイズ、セインツ、レイダーズ、ベアーズ」と発言するという事態に。

いったいなんなん。

カウボーイズはQBダク・プレスコットの大型契約が発表されたので、トレードはなし。現状では、ベアーズがウィルソン獲得に本気で乗り出していると報道されています。「シアトルが拒否できない条件をつきつける」なーんて言葉も見ました。

本当なの本当なの本当なのぉ?????

パッカーズかブラウンズかと騒がれたJJ・ワットさんが、噂にも上らなかったカーディナルズに行っちゃったという前例がありますから、どこまで本気にしていいのか分かりません。

でも私は心配しています。「ウィルソン、ベアーズに」なんて速報が飛び込んで来たらどうしよう。ドキドキドキ・・・・。

「ラスがシアトルを出ることはない」と語るKJ・ライトさんを全力で応援中❗❗❗❤❤❤


2021/02/07

【スーパーボウルLV】試合直前おまけ情報 ブレイディ侵入事件を振り返る他

みなさんこんにちは。いよいよスーパーボウル前日となりました。どっちが勝っても盛り上がらんわい、ふっ😑なんつってましたが、いよいよ試合間近となると、やはり楽しみ。今シーズンのフィナーレをパーッと飾ってほしいな。パーッと!

ということで、第55回スーパーボウルに関する、どうでもいいかもしれない情報を気の向くままご紹介。

1.生の観客25000人・紙の観客30000人

会場はフロリダ州タンパのレイモンド・ジェームス・スタジアム。新型コロナ感染症対策で、観客は2万5千人に制限されました。そのうち7500人はワクチン接種済みの医療従事者。タンパ、フロリダ地区と各チームの地元から、NFLが招待します。

3万の座席にはファンの写真ボードが並びます。1枚100ドル(約1万円)で写真をアップロードすることができ、収益はチャリティ団体に寄付とのこと。このボードがソーシャルディスタンスの役目もするという一石二鳥。購入者には、自分の席がどこなのか、お知らせが行くそうです。

自分のペット、亡くなった両親の写真などアップロードした方もいるみたい。いい記念になるんじゃないでしょうか。

オフィシャルサイトを覗いてみたら、前日でもまだチケット販売中。4人座席セットが、3階で1人4,973.50ドル(約50万円)、1階席だとペア席もあり、1人11,901ドル(120万円)でした。

2.警備体制も強化。ブレイディのお家

海から空から、万全の警備体制を敷いているタンパ市内。今年1番の懸念は国内のテロリスト団体とのこと。下のビデオ1:02から、タンパベイ・バッカニアーズQBトム・ブレイディの自宅がチラ見できます。

デレク・ジーター(野球選手)の家に借家住まいとのことですが、まるでリゾート。スーパーボウルに集中するため、試合前12日間はこの家に一人暮らしです。奥さんと子どもさんは土曜日に帰宅すると話してました。

3.ブレイディ家宅侵入事件

昨年4月、知らない人の家に入っちゃったQBブレイディがニュースになっていました。オフェンシブコーディネーターの自宅と間違えて、隣の家に入っちゃったらしいんですが、その時、自宅でブレイディに鉢合わせしちゃった方がこちら。

「玄関のドアが開いて誰かが入ってきたんで、体が凍りついた。男は野球帽をかぶって、両肩にダッフルバッグをかけていた。それを床に下ろすと、『よう、元気かい?』って声をかけてきたんだ」

それがトム・ブレイディでビックリ。パニックで息ができなかった。トムと呼びかけることさえできなかった。間違いを悟ると、侵入者は「すみません!申し訳ありません!」と矢のように出て行った。「一生の思い出だ。彼がスーパーボウルに行くんだよ」と、この男性は話しています。

4.前日にタンパ入りのカンザスシティ・チーフス。

例年は1週間前に現地入りする両チームですが、今回はバッカニアーズ本拠地での試合。メディアのイベントもすべてリモートで行われたため、チーフスは前日土曜日到着に決めました。コロナ感染対策のため飛行機2機を使用。

また、第12週でタンパに遠征した時と同じ時間に出発、同じホテルに宿泊。同じ結果を狙っています。27対24でチーフスの勝利となるか?

6.同伴家族もコロナ対策プロトコル

紙吹雪が舞い、大勢の人が集まるスーパーボウル後のフィールドですが、今年は選手・コーチとも1人につき2人まで招待できるそう。その2人は、選手と同様に1週間のPCR検査を義務付けられているとのこと。

7.チーフスのコーチが飲酒運転事故

よりによってこの時期に。チーフスのラインバッカーコーチが、木曜夜に交通事故。5歳と4歳の子どもが病院に搬送され、5歳は生命の危機もある重体です。ガス欠で道路に止まっていた車にピックアップトラックが突っ込むという事故で、このトラックを運転していたのが、HCアンディ・リードさんの息子でした。

目は血走って、酒気帯びだったと警察は報告しています。過去にも飲酒運転などの前科あり。チームにとって、かなり気の重い事故。子どもさんがどうか無事でありますように。

こんなところかな。

チーフスはオフェンシブラインの選手が怪我でかなり入れ替わっていると聞いているので、ここが試合のカギになるのでは?NFC決勝でQBロジャーズを苦しめたように、バッカニアーズのパスラッシャーがQBマホームズを攻略することができるのか。

まあどうせ、マホくんがスーパープレイ見せるのかな、ふっ。

とりあえず最後の試合だー。レッツゴー!