えーーーーっ?!?!と激震が走ったNFL界隈です。なぜ一体この時期に?肩の故障から復帰した昨シーズンはパス率とレーティングで自己最高記録を残し、最優秀カムバック選手賞にも選ばれました。やっとQBを守るオフェンシブラインが確立しチームが成長。今シーズンはより飛躍の年と期待されていたのではなかったか。
インディアナポリスでのプレシーズン、コルツ対シカゴ・ベアーズ戦中に速報が流れ、ラックさんがスタジアムを退出する際には大きなブーイングが響き渡りました。
嘘のような突然のニュースに、ファンも取り乱していたのではないでしょうか。「え、やめる?シーズン始まるよ?スーパーボウル狙えるよ?そんな話聞いてねーよ!バカヤロー」というリアクションは容易に想像できます。落ち着いてよく考えてみれば、彼を責めることはできないと、みんな納得するのでしょうが。
「この4年間、故障、痛み、リハビリの繰り返しだった。シーズン中もオフシーズンも絶えなく、容赦なかった。身動きがとれず、ここから這い出すにはフットボールをやめるしかなかった。喜びを見いだせなくなっていた」
とラックさんは記者会見で語りました。こんな風に生きていくことはできない。悲しいけれど、これが自分にとっての最良の決断である。身体的にも精神的にも疲れ果て、これ以上続けたらフットボールへの愛情がそうでないものに変わるかもしれない。そんな気持ちが伝わってきました。
A leader on the field. A pillar of the community.#ThankYouLuck pic.twitter.com/EbLXL768RQ— Indianapolis Colts (@Colts) August 25, 2019
類まれなる逸材と評価され、2012年ドラフト全体1位でコルツに入団。ルーキーから3年目までは全試合に出場し11勝5敗でプレイオフにも出場。しかし体も大いに痛めつけられました。
肋骨2本の損傷。腹部筋の損傷。腎臓打撲で血尿に。少なくとも1回の脳震盪。利き腕肩関節の故障。痛みを抱えながら試合に出場し、その結果手術を受けて1年全休。今年春からはふくらはぎから足首にかけての故障が治癒しませんでした。
体ぼろぼろじゃないですか。公表されなかった怪我だってあるでしょう。打ち身。疲労。それに伴う大量の鎮痛剤。焦り。元の体に戻るのか。酷使した体の後遺症への不安。
一番虚しいのは、彼の才能、本当の力を発揮させる事ができずに現役を終わらせてしまったのではないかというやるせなさです。だってさ、NFLの顔となる力を備えた人だったんじゃないの?チームがちゃんと育てていかなきゃならなかったのに、オフェンスラインの補強も行わず、2016年までサックやヒットされまくりだったじゃないですか。
一体どういうつもりなんだ!責任者ちょっとここに出てこい!とでも言いたいような気持ち。
改めて、NFLの選手たちの体への負担を考えさせられます。30歳でプロ生活を辞めざる負えない体になるって一体どんな。シーホークスのWRダグ・ボールドウィンさんもユニホームを脱ぎました。NEのグロンコスキーもPHIのクリス・ロングさんも辞めちゃったよね。エデルマンさんなんてまだ大丈夫なんかい?とも思います。
私たちファンは、選手のほんのひと時の、輝いている時間を見させてもらってるんやね。そしてそのひと時は、いつ終わってもおかしくない。と心に刻んで、また新しいシーズンを迎えようと思います。
アンドリュー・ラックさんのこれまでの活躍に敬意を感謝を表して、こちらのページをご紹介します。いい写真と思いません?(私は自転車に乗ってるやつが好き)