2022/05/12

ベイカー・メイフィールドはどこへ行く 2021シーズン振り返り

ドラフトが終わって一息ついた今日この頃、みなさんいかがお過ごしでしょうか。

新人くんは各チームに落ち着きましたが、フリーエージェントはまだ残っているし、行き先がはっきりしない選手もちらほら。今日はそんな選手のひとり、QBベイカー・メイフィールドの記事を紹介したいと思います。

2018年ドラフト1位でクリーブランド・ブラウンズに入団したQBベイカー・メイフィールドは、今年5年目で年俸約19億円が保証されています。ところが3月、ブラウンズはヒューストン・テキサンズQBデショーン・ワトソンをトレードで獲得し、5年230億円の大型契約を結びました。

メイフィールドは、ワトソンの移籍が発表される前日にトレードを要求。

一時はカロライナ・パンサーズが有力な移籍先と噂されました。情報筋によれば、年俸の大部分をブラウンズ側が支払うという条件をパンサーズが提示し、ブラウンズはこれを拒否。結局パンサーズは、ドラフト3巡でトレードアップしQBマット・コラルを指名しました。

シーホークスもトレードでQBを獲得する考えはないと表明し、現在のところ、メイフィールドの去就は不透明です。

昨シーズンの開幕試合でブラウンズはカンザスシティ・チーフスと対戦。試合開始から3回連続でタッチダウンを決め、快調な滑り出しでしたが、最後はメイフィールドのインターセプトで敗戦。

第2週のヒューストン・テキサンズ戦で、メイフィールドは肩を負傷します。利き腕ではない左肩の関節を痛め、これが不調のきっかけとなりました。

開幕2試合では82パーセントだったパス成功率が、左肩を固定して出場した第3週以降は57.7パーセントに。リーグトップから31位に転落しました。

「怪我が影響し、不調に陥った。自信が無くなり、自分を見失った。辛いシーズンだった」

メイフィールドは4月に回顧して語っています。

11月には、WRオデル・ベッカムJr の父親が、WRへの投球を失敗するメイフィールドの動画をインスタグラムに投稿し、話題になりました。これについて、ベッカム本人から公のコメントは無く、メイフィールドへの個人的な連絡もなかったといいます。その後ベッカムはロサンゼルス・ラムズへトレードで移籍。

オデル・ベッカムJr がNY・ジャイアンツからブラウンズへ移籍したのは2019年。ロッカールームでは人気の選手でした。

ブラウンズで初めてのトレーニングキャンプでは、ドラフト外のルーキーWRに目をかけ面倒を見ました。クリーツを失くした時にはベッカムが自分のクリーツを与え、ルーキーはプレシーズン試合で大活躍。シーズン前にカットされると、この選手はSNSでベッカムへの感謝を伝えました。

カフェテリアで、ベッカムは毎日違うグループと食事を共にしたといいます。一緒に戦う仲間のことをよく知りたいというのがその理由。チームメイトを自宅に招くこともよくあり、気に入った服や靴があると聞けば、自分の大きなクローゼットから惜しみなく分け与えました。

トレードが話題になると、複数の選手がベッカムの残留をフロントに働きかけました。「ほとんどの選手は彼に残ってほしかった」とSジョンソンⅢは語ります。

メイフィールドとチームメイトの間に溝ができました。ベッカム父親の動画を見たかと問われ、「見る必要なんかない。(ひどいパスは)毎日練習で見てるから」と語った先発選手もいました。

クリスマスの日、グリーンベイ・パッカーズ戦は最後に逆転のチャンスが訪れましたが、試合時間残り10秒、メイフィールドのインターセプトで敗戦が決定。合計4つのインターセプトも大きく影響しました。

次第に、メイフィールドはHCステファンスキーへの信頼も失っていきました。

翌週マンデーナイトのビッツバーグ・スティーラーズ戦、9回サックされたメイフィールドは、試合後の記者会見でゲームプランを批判。「相手はTJ・ワットなのに、ルーキーのタックルへの援助がない。いい試合になるわけがない」と語りました。

プレーオフ出場争いからはすでに脱落していた試合でしたが、メイフィールドは不調のまま最後まで出場しました。10回連続でパスインコンプリートの場面もあり、最後のプレーはフォースダウンからのインターセプト。

ブラウンズは、万全とは言えないQBをわざと出場させていたのではないか。プライムタイムの試合で酷いプレーを全米に見せつけ、シーズン後にメイフィールドを放出する理由付けをしたかったのではないか。メイフィールド側は、チームへの不信感を募らせたと報じられています。

シーズン最終戦シンシナティ・ベンガルズ戦に出場するかどうかは、(チームではなく)家族、エージェントと相談して決める。と、メイフィールドは発表し、試合は欠場。

1月には肩を手術し、メイフィールドはリハビリに取り組んでいました。ブラウンズも「ベイカーが先発で戻ってくることを期待している」と発言していたのですが、翌月、コンバインの時期には、ベテランQBを考慮中であることをメイフィールドのエージェントに示唆。

 3月15日、メイフィールドはブラウンズのオーナー、GM、HCがQBワトソンと面会するためヒューストンへ向かったことをSNSで知り、激昂したと言われています。ブラウンズ幹部がヒューストンへ着陸する前に、メイフィールドはクリーブランドのファンに宛てたお別れメッセージをSNSに投稿。

17日にはブラウンズへトレード要求を通告。18日、ブラウンズはQBワトソンと大型契約を発表しました。

4月のポッドキャストで、メイフィールドは「自分に言ったことと、やることが全く違う」とブラウンズをはっきり批判しています。まだ籍はブラウンズにありますが、トレード先は見えません。

ブラウンズは彼をリリースするのか。それともワトソンが試合出場停止処分になった場合の保険として彼を確保しておきたいのか。でも、メイフィールドがブラウンズのトレーニングキャンプに参加するとは、到底思えません。ね。

NFLで先発を張れるQBではあります。でも、背中に背負ってくるドラマが重いんで、躊躇するチームがあるよね・・・というのが個人的な感想です。

どうなることやら、興味津々の1件です。

2022/05/05

【ドラフト2022】やはり涙は欠かせない QBケニー・ピケットの場合

クォーターバック不作と言われた今年のドラフトで、最初に指名されたQBはピッツバーグ大学ケニー・ピケットくんでした。ピッツバーグ・スティーラーズが1巡20位で獲得。

その後しばらくQB指名は無く、3巡74位でアトランタ・ファルコンズがデズモンド・リダー、3巡86位でテネシー・タイタンズがマリーク・ウィルスを指名。スティーラーズは、ブラウンズQBメイフィールドに興味を示しているとの噂もあったのですが、即戦力として評価の高いルーキーを選択しました。

「よう、ケニー今夜何してんの?テレビ見てる?」なんて言いながら1巡指名を告げるHCトムリンさんも嬉しそうなんですが、電話を受け取ったケニーくんがまた、感激のあまり顔を上げることができません。

これ。これだよドラフトは。ルーキーくんの涙が見たいんじゃ。

さて、ピッツバーグ大学パンサーズの練習施設は、スティーラーズと隣接しています。建物内の事務所、ロッカールーム、ウエイトルームはもちろん別々なのですが、戸外のフィールドは共用。

正面入口は4メートルほど離れており、ケニー君は、レッドシャツ1年を含め過去5年間、右側のピット・パンサーズ用のドアを使っていました。

「ピット側のドアから入る時、いつも左側を見て、いつかそっちから入りたいと思ってたんだ。それが現実になるなんて」

と語るケニー・ピケットくん。施設内で時々会ううちに、HCトムリンさんとは顔なじみになりました。でもQBロスリスバーガーと話したことは無し。スティーラーズの練習風景はよく見ていました。

「僕の家族やコーチはずっと、隣のドアからプロ生活が始まったらいいのにねって話してたんだ。不思議なものだね。32チーム全部と面接して、興味を惹かれたチームもあったし、そうでないチームもあった。スティーラーズはもちろんリストの上。チームの姿勢、エッジの効いたプレイ。僕に合ったチームだと思う」

今年のQBの中では、一番プロに近いと言われる選手で、HCトムリンさんは彼の予測力と投球の正確さを高く評価しています。

ドラフト前は手が小さいこと(8.5インチ)、ファンブルが多いこと(52試合で38回)が話題になり、揶揄されましたが、実際に試合で勝てばそんな声も消えるでしょう。QBトルビツキー、QBルドルフと共にスティーラーズの先発争いをすることになります。

話変わって、シーホークスの7巡、WRメルトンくん指名の瞬間も珠玉のひとコマ。GMシュナイダーさんの「これから指名するよ。オーケー?」の後、「サンキュ・・」でもう声が割れてるのがね、ホントにいいの〜。

GMとかHCとか役得だよね〜。朗報を告げるって、めちゃ楽しいに決まってる〜。ルーキーくんたちの、プロ選手になる夢が叶った瞬間だもの〜。あ〜めでたい。

というわけで、プロ入りを果たした新人の皆さんの、これからの活躍に大いに期待しようではありませんか❗❗

2022/05/01

シアトル・シーホークスの2022年ドラフト指名選手勢ぞろい

 みなさん、お久しぶりです。NFLのドラフトが終了しました。みなさんのチームは、お目当ての選手を獲得できたでしょうか。

未来への可能性を無限に秘めたルーキーくんたちが、とりあえず揃いました。シアトル・シーホークスのニューフェイスを紹介してみます。

1巡全体9位 OT チャールズ・クロス ミシシッピ州立大学

QBウィルソンのトレードと引き換えにデンバー・ブロンコスから得た1巡で、オフェンシブラインマンを指名です。カレッジではレフトタックル。HCリーチさんのパスをガンガン投げ飛ばすオフェンスにおいて、抜群のパスブロックを見せました。

「優秀なアスリート。期待大。9位まで落ちてきて、シーホークスはびっくりしたんじゃないかな」という評価も聞こえます。同じ大学出身の元シーホークス、KJ・ライトさんが早速連絡を入れ、アドバイスをしてるようです。 

GMシュナイダーさん、こんなところがカワイイです❤

2巡40位 OLB ボイエ・マフェ ミネソタ大学

エッジラッシャーが来ました。ここもチームの大きな補強ポイント。高い運動能力を持った良い選手。(てか、ドラフトされる選手みんなそうに違いない)

2018年の母の日にお母さんをすい臓ガンで亡くしました。試合の前には手話でお母さんに語りかけるとビデオで語っています。

2巡41位 RB ケン・ウォーカーⅢ ミシガン州立大学

毎年恒例のランニングバック指名。避けて通ることのできない道。QBなんかよりまずRBという哲学に乾杯でもするか・・・。しかし、RBペニーは昨年後半戦で光ったものの、やはりまだ怪我の不安はぬぐいきれず、RBカーソンの復帰も定かではないことから、やはりRB指名が必要なのかもしれません。

昨シーズンは1636ヤードを走り、ハイズマントロフィー6位候補でした。元シーホークス、リチャード・シャーマンさんが「良いピックだ。ピート・キャロルならではのRB指名」と評しています。

3巡72位 OT アブラハム・ルーカス ワシントン州立大学

1巡でレフトタックルを取ったので、今度は右側の選手を指名。オフェンシブラインを上位で2人指名したのでOTデュエン・ブラウン再契約の可能性は低くなったのかもしれません。

4巡109位 CB コービー・ブライアント シンシナチ大学

コーナーバックも必要な補強ポイント。全体4位でNY・ジェッツに指名されたCBガーデナーのチームメイト、反対側を守っていた選手です。NBAのコービー・ブライアントにちなんで命名され、小さい頃お父さんからCBリチャード・シャーマン、Sアール・トーマス、Sカム・チャンセラーの話を聞いて育ち、ファンだったと話しています。背番号はNBAコービーと同じ8番を希望

5巡153位 CB タリク・ウーレン テキサス・サンアントニオ大学

連続でコーナー獲得です。2019年にワイドレシーバーからコーナーバックに転向し、経験は浅いものの、身長193 cmで 40ヤードダッシュ4.26秒という速さ。腕が長く、シーホークスが好きそうなプロトタイプ。「かつてリチャード・シャーマンっていう長身選手がいてね、カレッジでWRやってたんだ」と、すでにHCキャロルさんがウーレンくんに語っているそうです。

5巡158位 OLB タイリーク・スミス オハイオ州立大学

二人目のエッジラッシャーを指名。子供の頃はカリフォルニアで育ち、前シーホークスのボビー・ワグナーとレクリエーションセンターでバスケのピックアップゲームをしたこともあります。ワグナーさんの従兄弟とよくプレイしてたとか。料理教室に通うほどの料理好きで、特にシーフードがお気に入りという一面も。

7巡229位 WR ボー・メルトン ラトガース大学

身長180cmと小さめのレシーバーで、大学ではスロットもアウトサイドもこなし、スペシャルチームにも貢献。先発候補というよりは、ロースターに残ることを期待って感じでしょうか。レシーバーの指名が7巡になるということは、やはりDK・メトカーフの放出はナシで決定。

7巡233位 WR ダリーク・ヤング レンワーライン大学

ディビジョンⅡ大学からの指名で、シーホークスに何度も訪問を重ねていました。ランニングバックの経験もあり、複数のチームからWRディーボ・サミュエル(ナイナーズ)のような役割を打診されていたそうです。

ということで、OTx2、エッジx2、CBx2、WRx2、RBx1、合計9人をシアトル・シーホークスは指名しました。また、ドラフト外では10人以上と契約し、その中にはQBも含まれます。

ルーキーの皆さんグッドラック❗❗❗

雑感:クォーターバックの指名がなかったということは、QB1ドリュー・ロックにオール・インということなのかもしれません。QBジノ・スミスとも新契約を結んだので、2人の先発争いになるんでしょう。

スティーラーズ、ファルコンズ、タイタンズ、パンサーズが3巡までにクォーターバックを指名しており、なんというか、それじゃあQBメイフィールドはどこへ行く?というのが興味深いです。シーホークスには来ないと思いますよん。

ドラフトが終わって、めちゃ戦力アップした気分。とはいえ、どのチームも同様に新しい選手が加入したわけですが。次のシーズンが楽しみです🙌