2019/05/29

引退したクリス・ロングがマリファナについて語っていた件

フィラデルフィア・イーグルスのDEクリス・ロングさんが先日引退を発表しました。現在34歳。2008年ドラフト全体2位でセントルイス・ラムズに指名され8年、ニューイングランド・ペイトリオッツ1年、フィラデルフィア・イーグルス2年と計11年の選手生活でした。

ペイトリオッツとイーグルスでは2年連続でスーパーボウル優勝。慈善活動にも熱心で、自ら基金を設立して東アフリカに井戸を建設し、また2017年には1年の年俸をすべてチャリティに寄付していました。昨年は、著しく社会貢献に務めた選手に贈られるウォルター・ペイトンNFLマン・オブ・ザ・イヤー賞を受賞しました。

そのロングさんがインタビューに答えて、これまでマリファナを常用していたこと、NFLの薬物検査は簡単に騙せることを語っていました。


「(マリファナは)ドラッグとも呼べないようなものだ。選手の使用を認めるべきだと思う。試合の後に酒をちょっと引っ掛けて外出するよりも安全だ。

酒よりも、タバコよりも害は少ない。リーグはこれまでに、様々なレベルでこれらの産業とパートナーシップを結んで来た訳なんだが。

何割の選手がマリファナを使用しているか、数字を出すことは控えるが、自分は普通にマリファナを使用してきた。日常的にね。これがなかったら、選手生活のストレスに対応できなかったと思う。たくさんの選手が、これで身体的苦痛を緩和させているんだ。

ドラッグテストは建前に過ぎない。リーグもそれは認識している。年一回の薬物検査、それにマリファナが含まれることもバカバカしいんだが、実際にいつ検査が行われるか、選手は知っているんだ。それに合わせて中断したらいい。1、2ヶ月止めて、睡眠薬か鎮静剤を代わりに服用する。酒の量を少し増やすとかね。週末の一杯が、大量になる場合も出てくるだろうが。

もし本当に禁止したいんだったら、もっと頻繁に検査しているはずだ。これからは受け入れる方向に進むべきだと思うよ」

もう選手生活は引退ということで、わりとざっくばらんに話していました。薬物検査って、もっとランダムなものかと思っていましたが、そうでもなさそう。

オピオイド系の強い鎮静剤には強い依存性があり、最近では中毒患者の増大、過剰摂取による死亡事故が社会問題にもなっているので、それに比べれば、マリファナはかなり安全と言えるかもしれません。ただ、医療用大麻の使用を認めていない州もあるので、NFL全体として許可するには、まだまだハードルが高いのではないでしょうか。

引退については、体の状態や家族など様々な要因がありますが、試合でのスナップ数が減ったことが大きな理由だったようです。

「ベテランということで、次第に選手兼コーチのような役割を担うようになった。体を張る機会が少なくなっていいじゃないか、という人もいるけれど、そうなると自分のリズムがつかめない。体が冷えて怪我をしやすくなる。私はフットボールがしたいんだ。

イーグルスはチームの方針について正直に語ってくれたし、それは感謝している。移籍して、また知らない場所で始めるつもりはない」

フィラデルフィアは大好きで、全米一のスポーツ都市だ、ということも語っていました。引退後はデジタルメディア会社を設立し、ポッドキャストなどもする予定。解説者の道も考えているようです。これからもクリス・ロングさんに会える機会は結構あるんじゃないでしょうか。お父さんも解説やってるしね。

長い間お疲れ様でした。体を本当に大事にしてほしいです。

2019/05/20

数々の思い出をありがとう❤ダグ・ボールドウィン

NFLファンのみなさん、お久しぶりです。オフシーズンをいかがお過ごしででしょうか。今月は、シアトル・シーホークスのWRダグ・ボールドウィン引退というニュースがありまして、私はしばし悲しみに打ちひしがれておりました。

シーズン後に複数の手術をしたという話は聞いていました。開幕には間に合わないかも、と心配していた矢先でした。彼が引退の準備をしていると、ドラフト後の会見でGMシュナイダーさんが圧倒話していたので、心の準備はしていたのですが、それが現実になってみると、失くしたものの大きさに圧倒されます。

身体検査に合格しなかったという理由で、SSカム・チャンセラーと共に解雇。チャンセラーさんは昨年もプレイしていなかったので、引退も納得済みでしたが、ダグさんにはあと1年くらいやってほしかった。フットボール選手の身体への負担というのは、想像以上に厳しいものなのだと改めて思います。

自らの引退ではなく解雇という形のため、二人とも契約時ボーナスを返金せずに済み、またNFLから健康保険を1億円強もらえるという、選手側に有利な手続きだったようです。

ダグ・ボールドウィンさんの思い出は、数えられないほどあります。胸を熱くするプレイを何度見せたもらったことか。極寒のバイキングス戦での、腕を天に伸ばしてのスーパーキャッチ。チーフス戦での、パイロンへ倒れながらのタッチダウン。窮地に立たされた場面で、いつもチームを救ってくれました。頼りになるナンバーワンレシーバー。

NFLには花形レシーバーが何人かいますが、私にとっては、彼がいつでも最高のレシーバーでした。ギリギリのところでボールを取ってパスをコンプリートする、こんな足さばきはもはや芸術。


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キレッキレのステップにもダグさんの真骨頂でした。


高校卒業時に奨学金のオファーが届いたのは1校だけ。スタンフォード大学ではHCジム・ハーボ―の下、なかなかプレイタイムがもらえず、ドラフト外でシーホークスに入団。小柄な体格ですが、フットボールに賭ける情熱と根性、そして「オメーら舐めんじゃねーぞ」という態度で、自分が授かった能力以上の力をb発揮してくれた選手です。

Legion of Boomと呼ばれたシーホークス・ディフェンス陣の、相手に食って掛かるような成り上がり者の心意気を、RBマーション・リンチと共にオフェンス側でも見せてくれました。ダグさんももチャンセラーもいなくなり、一つの時代が終わった感は否めません。

「ラス(QBラッセル・ウィルソン)に先に喋らせろよッ」と、かつてのオフェンシブラインコ―チ、ケーブルさんを突き飛ばしたことも、「何してんだよ、しっかりしろッ」とウィルソンに突っかかったこともありました。

「お、おぅ・・(汗)」的なウィルソンもなかなか良い味(笑)ですが、こうやって躊躇せず真正面からぶつかって来るチームメイトを失くすのは大きな痛手。ウィルソンを怒鳴ってくれる人、他に誰かいるんかい。(その点はOTデュエン・ブラウンさんに期待)


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「いいか、まず一つだ。一つずつプレイを決めていくんだ。急がなくていい。オレ達はお前について行く。リードしてくれ。暗闇の中をリードするんだよ」

というミネソタでの名言も忘れられません。(ウィルソンたじたじ笑)そしてまた、ダグさんは後輩のWRタイラー・ロケットくんを大変可愛がってもいました。足を大怪我した時、真っ先に駆け寄っていったのもダグさんだったし、彼のレシーバーとしての成長をいつも親みたいに喜んでいました。


ロケットくん落球の際には

「ちょっと言っていいか?人間の心ってのはさ、小さな失敗を必要以上に膨らませてしまうものなんだ。お前は野獣だ。野生の動物なんだ。誰にも止められやしないんだ」

「僕を信頼してくれてありがとう」

「あったり前だよ。人生賭けて信頼しちゃうよ」

なんつって、これも珠玉の場面でした。


もう感謝しかないですね。もうユニホーム姿が見れないのは残念ではありますが。人生の輝いたひと時を私たちに見せてくれてありがとう。

ツイッターに「若かった自分への手紙」なんてカッコいいこと書いて、一人で去って行くなんてずるい。バカヤロー!という気もします。しかし、社会活動にも熱心に取り組んでいる人なので、活動家または政治家としての舞台に登場するのではと期待もしています。ダグさん、これからもずっと大好きだよ。ずーっと応援し続けるよぉ!




2019/05/08

マイアミで輝け🌟ドルフィンズQBジョシュ・ローゼン

今年のドラフト1位指名はQBカイラー・マレーくんでした。アリゾナ・カーディナルスの新ヘッドコーチとなったクリフ・キングスベリーさんは、マレーくんが5フィート2インチ(157 cm)の高校生だった時からベタ惚れだったそうですから、一緒になれてよかったのかな。

それを受けて、昨年ドラフト1巡10位でカーディナルスに入団したQBジョシュ・ローゼンくんは、マイアミ・ドルフィンズへトレード移籍となりました。

マレー指名に伴うジョシュ・ローゼンのトレードはずっと噂されていましたが、ローゼンくん本人は最後の最後までその話を信じていなかったと語っています。スケジュール通りにチーム練習に参加し、HCキングスベリーさんからゲームブックのレクチャーを受けていました。

カーディナルスGMから、ローゼンくんのエージェントに各チームとのトレード交渉を許可するという知らせが入ったのがドラフト1位指名発表の数分前。エージェントはすぐローゼンくんに連絡を取り、またHCキングスベリーさんもローゼンくんに電話を入れました。私たちはキミを高く評価している。プレイが問題な訳じゃない。これは私のせいなんだ。

「こんなことが起こるはずはないと信じていた。そうか、やはりという気持ちもあったけれど、僕の心は信じたくなかった」

とローゼンくん。カーディナルスはトレードに1巡指名権を要求しましたが、応じるチームはなし。期待する見返りを得ることが出来ない場合は、2人の1巡クォーターバックをロースターに残すこともチームは考慮していたそうです。

「そういうつもりなら、僕が先発争いに勝ってカイラーがバックアップになったらいい」

というローゼンくんに「チームはそんなことを望んでいない。トレードを成立させる」とエージェントは答えました。

「僕が留まるなら、もちろん先発争いをする。だけど、公平な争いじゃないことは分かっている。クォーターバックを指名した翌年に、さらに上位で再びクォーターバックを指名して、最初に取ったヤツを使うわけはないだろう。間違いを2つ犯したことを認めることになる」

トレード候補だったニューヨーク・ジャイアンツ、ワシントン・レッドスキンズは1巡でクォーターバックを指名し、ドラフト1日目が終了。

「いいさ。ダルフールの少年兵ってわけじゃないんだ。ここまで僕は恵まれて来た。本物の逆境に立ち向かう時が来たんだ」

「もしカーディナルズにトレード放出されて落ち込んだら、周りを見渡してみたらいい。僕はスコッツデールのすごく良いコンドミニアムに住んでる。チームに所属している。食卓には食べ物があり、良い家族がいる。もっとひどい人生だったかも知れないんだ。今の幸せに感謝しなきゃ。世の中に良いエネルギーを出さないと」

というローゼンくんは、ドラフト2日めにマイアミ・ドルフィンズに移籍が決まりました。ローゼンくんと交換にドルフィンズは2巡(64位)と2020年5巡指名権をカーディナルスへ。

翌日土曜日には、かねてから出場を約束していたWRラリー・フィッツジェラルドさん主催のチャリティソフトボール大会に出場しました。



「彼がどんな人間かという証明だ。マイアミに飛ぶことだってできたし、断ることもできた。彼の性格、責任感、友情を表している。彼を友達と呼ぶことができて幸運だ。マイアミでの活躍を期待しているよ」

フィッツジェラルドさんは語っています。オフシーズンの間、ローゼンくんと毎日のように連絡を取り、ドラフト前にも話し合いを持ったそうです。

この大会でローゼンくんはMVPに選ばれ、ホームランダービーでも優勝。ファンからも大声援を浴びていましたよ。「ジョーーーッシュ!」って。

確かに、裕福な家庭に生まれて頭脳明晰、運動神経抜群な彼にとっては、尻を蹴られてお払い箱となった今回のトレードは初めての逆境なのかもしれません。でも逆境っていいですよね。その分タフになれるもの。

マイアミでは、まずベテランQBの、あの髭おじさんと先発争いをすることになります。(そういえば、あのおじさんも頭脳派や)ヘッドコーチ、オフェンシブコーディネーターともに新任なので、どうなるのか全く想像できません。レシーバーはさておき、オフェンシブラインがしっかりしていればいいなあ。去年のアリゾナはグダグダだったもの。

AFC東地区は、昨年のドラフト1巡QB3人と高齢QB1人の戦いということになり、それも結構楽しいかもと期待しています。

2019/05/05

タイリーク・ヒル&エイドリアン・ピーターソン&トゥア・タゴバイオラ&ベルトに関する考察

このオフシーズン、カンザス・シティチーフスのWRタイリーク・ヒルは警察の捜査を受けていました。腕を骨折した息子(3歳)への暴行容疑です。証拠不十分で不起訴になると報道された直後、カンザスシティのテレビ局がヒルと婚約者の会話録音を公表。捜査が再開されることになりました。

婚約者のエスピナルさんは息子の母親です。ドバイ空港での会話を録音し、「もしものために」友人に渡しておいたとのこと。



「あの子はあなたを怖がってる。敬意を払っているってあなたは言うけど、そうじゃない。怖いのよ」

「お前も怖がったほうがいいぜ、ビッチ。そんなだから男と長続きしねえんだろ」

「怖かったからずっと泣いてたんだわ。恐怖だったのよ。あなたが掴みかかったか、あの子が転んだのか、2つに一つよ」

「オレは何もしていない」

「じゃあなぜ『パパがやった』って言ってるの?3才児が怪我した腕のことで嘘を言うわけないじゃないの」

「私は、警察と児童福祉捜査官からあなたをかばった。『パパが殴った』と言ったことを何度も質問されたわ」

という内容。普段からベルトで子どもを殴っていることについても争っています。ヒルの口調は冷淡。子どもが危害を受けているのに、その男とまだ一緒にいる母親もひどい。二人とも養育者として不適格と判断され、息子さんは現在別のところに保護されていますが、彼女は現在妊娠7ヶ月で双子を出産予定とのこと。

2014年には妊娠中の彼女の腹部を投打し、首を締め、有罪判決が下っています。オクラホマ州立大学は退学となり、その後チーフスが2016年ドラフトで指名したことを疑問視する声もありました。プロ入り後は有力選手となりましたが、この音声発覚後、チーフスはヒルの無期謹慎を発表しています。

その後、弁護士がヒルの無実を訴える手紙をNFLに提出。腕の骨折は「彼女がやった」というメッセージが引用されていますが、こんな長いテキストを携帯で書く人がいったいどこにいるのか。ったくふざけてんじゃねーぞ。

骨折はもちろんのこと、幼児にベルトを使うヤツは刑務所に入っていい。抵抗できない子どもを痛めつけるなんて、卑怯者のすることじゃないですか。大人というだけで、何を威張ってるのか。暴力を振るっていい気になるな。

幼児虐待といえば、2014年には当時ミネソタ・バイキングスのRBエイドリアン・ピーターソンが起訴されています。しつけという名目で、4歳の息子の背中、尻、生殖器、脚、足首を木の枝で鞭打ち、血がにじむ傷跡が残りました。

にもかかわらず、ピーターソンは昨年のインタビューでも「おう、先日もベルトで子どもの尻を引っ叩いてきたぜ」と堂々と発言。唖然としました。

そしたらですね、またもや昨年の話なんですが、アラバマ大学QBトゥア・タゴバイオラ選手が、父親にベルトで折檻されていたことを語っていたんです。高校生になってまで。試合でインターセプトをひとつ投げたからって。

「厳しさに耐えたから今がある」みたいな感じでトゥアくん本人、両親とも美談に酔った様子で、ESPNも「家族の絆すごいね」みたいなテーマで放送していたのですが、私はドン引きしました。は???絶句。

高校生ですよ。フットボールなんてゲームじゃないの。ミスしたからって親が尻を叩くのか。痛ければ失敗はなくなるのか。気持ち悪い。

これがサモア人の文化だ、という声も聞きましたが、私はとても受け入れられません。トゥアくんのファンだったけど、心がサーッと引きました。自分の尻をベルトで叩かれることを受け入れる高校生は、大きくなって自分の子どもにベルトを使うんだろうな、と思うと気が重い。

親の勝手な理由で、子どもを叩いたりするな。

戦力が減ってチーフスは困るだろうし、凄い選手が欠けてNFLは視聴率が心配なのかもしれないけど、私はタイリーク・ヒルが戻って来なくても全然オッケーです。