2021/01/31

NY・ジェッツHCロバート・サラー 9.11からNFLへッドコーチへの道

来シーズンに向け、新体制が整いつつあるNFL界隈です。

ニューヨーク・ジェッツの新ヘッドコーチには、ロバート・サラーさんが就任。これまでサンフランシスコ・49ersでディフェンシブコーディネーターをしていた方です。

会見をちょっと見しただけですが、とても信頼できる感じでカッコ良い。ヘッドコーチ職が似合ってます。

最近のナイナーズの強いディフェンスを作った人でもあり、人望も厚い様子。CBリチャード・シャーマンが、ライオンズがヘッドコーチとして雇うべき機だと、ちょっと前に話していました。(サラーさんデトロイト出身なので)

イスラム教信者がヘッドコーチ職に就くのは、NFLでは初めてのこと。アラブ系の42歳。一時は銀行マンをしていたサラーさんがコーチ職を志したのは、20年前のアメリカ同時多発テロ事件がきっかけでした。

デトロイトの郊外、ディアボーンはアラブ系人種が集中して住んでいる街で、サラーさんが通った公立高校では90パーセントの生徒がアラブ系。フットボールが盛んな地域で、父親、兄弟もフットボール選手でした。

北ミシガン大学時代はタイトエンド。プロにはなれないと自覚し、銀行に就職します。業務はローンの査定で週給800ドル(約8万円)。

2001年9月11日。ニューヨークの世界貿易センタービルが崩れ落ちるテレビ画面を、サラー家は息を呑んで見つめていました。その日、ロバートの兄デビットがツインタワーのモルガン・スタンレー社に出向していたのです。

「あの時の母の顔。息子を亡くした母の顔だった。この話をするのは、今でも辛い」

と言葉をつまらせるサラーさん。幸いにも、兄はビルの64階から非常階段を駆け降り、ビルが崩壊する前に脱出。しばらくしてやっと家族への電話が繋がりました。

「この経験を通して、本当に自分がするべきことをしているのか考えるようになった。思い悩みながら、その年のスーパーボウルが来た。ラムズ対ペイトリオッツだったと思う。翌朝、出勤して自分のデスクについたら、抑えきれない感情が湧き上がってきた。自分の情熱を追求しなければと」

泣きながら兄に電話し、自分の決心を伝えました。安定した今の仕事に留まるよう、父は説得しようとしました。

レバノンからアメリカに渡った祖父は、仕事を兼業しながら家族を支えてきました。英語の読み書きはできませんでしたが、ゼネラル・モーターズとフォードの工場で同時にシフト作業をしていたこともあります。父親は建設業。移民3世代目のロバートは将来を約束された金融関係の職業に就いたばかりでした。

しかし固い決意は変わりません。まず高校のコーチの紹介で、ミシガン州立大学のアシスタントになりました。月給は650ドルで、仕事は主にコピー取りとコーヒーの準備をすること。

それから中央ミシガン大学、ジョージア大学を経て、ヒューストン・テキサンズのスタッフになったのが2005年。2011ー2013年はシアトル・シーホークスでスーパーボウルも経験しました。

シアトル時代のDCブラッドリーがヘッドコーチとなったジャクソンビル・ジャガーズに移籍し、ラインバッカーコーチを務めた後、2017年にナイナーズのディフェンシブコーディネーターに就任しました。

「あの不幸な事件が始まりだった。そして今、数あるチームの中、ニューヨーク・ジェッツのヘッドコーチになった。最初の試合は、9/11の20周年翌日だ。私はジェッツの20番目のヘッドコーチになる。来るべきところに来たのだと思う。これには理由があるはずだ。やることをやる。迷いはない」

とサラーさんは語っています。

チェスがメチャうまく、頭がキレる人らしい。4月には7人目の子どもが生まれる予定のお父さんでもあります。

ウィキペディアを見てたら、パッカーズのHCマット・ラフルアさんの結婚式でベストマンを務めたとも書いてました。ベストマンといえば、人生を共に歩く一番の親友。へえー。中央ミシガン大学で働いていた時に同僚だったようです。

スーパーボウルでのQBマホームズ攻略法については、

「とにかく執拗に追い続けるんだ。彼はプレイの合間に、爺さんみたいなチョコチョコ歩きをする。足を痛めたような。パスラッシャーは、それに惑わされてはいけない」

と語っています。なるほど、チョコチョコ歩きか。年寄りみたいな。よくわからんけどスーパーボウルはそれに注目してみよう!

 新しいチーム、わくわくしますね。各チームでコーチ陣は整いつつあるし、これからトレードやフリーエージェント契約など、選手の移動も激しくなるでしょう。新しいシーズンも今から楽しみです。

2021/01/30

【NFC決勝】タンパベイのディフェンスがロジャーズを攻略した バッカニアーズ@パッカーズ戦

ランボーフィールドでのNFCチャンピオンシップ、タンパベイ・バッカニアーズ対グリーンベイ・パッカーズ戦はバッカニアーズが31対26で勝ち、スーパーボウルへの出場を決めました。

ブレイディ対ロジャースという注目のQB対決。結果的にはバッカニアーズのディフェンスがロジャーズをねじ伏せた感がありました。終了間際のコーチの采配も論議を呼んではいたのですが。

試合はまず、バッカニアーズがあっさりタッチダウンで先制。パッカーズもタッチダウン、フィールドゴールで得点し、14対10で追いかけます。前半2ミニッツで点差を縮めるチャンスを得ますが、インターセプトで撃沈。バッカニアーズにボールが渡り、残り時間は24秒。

敵陣45ヤードでバッカニアーズは4th & 4、残り13秒。パントチームをフィールドに送り込みますが、ここでタイムアウト。

その後、オフェンス陣がフィールドに戻り、4th downの更新に成功しました。残り6秒でQBブレイディからWRミラーへ39ヤードタッチダウンパス。14対13だったかもしれないスコアを21対10として、ハーフタイムへ。

これはデカかった。

相手がパッカーズということを考え、得点が必要だったとバッカニアーズHCエリアンスは語っています。

「このドライブで点がほしい。それでまたオフェンスを送り込んだ。もし失敗しても、ディフェンスが守りきるだろう。相手に1回か2回のプレイとフィールドゴールの機会を与えるかもしれないことは承知していた。

しかし、そのフィールドゴールが試合を左右することにはなるまい。そう考えたんだ。ここで更新に失敗して、フィールドゴールを許したら、私はひどく批判されるだろう。しかし決断するのが私の仕事だ。チャンスはあると信じた」

後半では、最初のドライブでパッカーズがファンブルし、点差が18点に広がります。ところがその後、バッカニアーズQBブレイディが3回続けてインターセプトを献上。

3つのターンオーバーのうち、1つはタッチダウンに結びつけたパッカーズでしたが、あとの2回は3 & OUT。今考えると、これがかなり痛かった。バッカニアーズのデフェンス、固いところを見せました。

第4クォーター2ミニッツ直前。8点差を追うパッカーズはゴール前8ヤードまで攻め込み、同点を狙います。1st down、 2nd downのパスはインコンプリートに終わり、3rd and Goal でこのプレイ。

QBロジャーズが走ってたらタッチダウンできたかも?ゴール前の距離が詰められたかも?

WRアダムスへのパスはインコンプリートで4th downとなり、パッカーズはフィールドゴールを選択。5点差で、残り時間2分5秒。ボールがバッカニアーズから戻ってくることはなく、そのまま試合終了となりました。

ファーストダウン更新となったDPI(ディフェンスのパスインターフェアランス)への批判もありましたが、それよりも両コーチの4th downでの決断が対照的です。

バッカニアーズHCブルース・エリアンスの強気コールと、正念場でタッチダウンを疑ったパッカーズHCマット・ラフルア。

「3回続けて(パスが失敗し)ヤードを進められなかったこと、タッチダウンだけでなく2ポイントコンバージョンが必要だったこと」がフィールドゴールを選んだ理由だとHCラフルアは語っています。

かなり批判を浴びた、このコール。えー、蹴るんだ・・。2ミニッツでQBブレイディにボールを渡して、返ってくるのかな・・。

試合後、QBロジャースも「あれは僕の判断じゃない」なんて言ってたんですが。

ちょっと。それはそうかもしらんけど、なにもそんなふうに言わなくてもいいじゃないすか。メチャやりにくいよオレは。(ラフルアさんになったつもり)QBがコーチのとこへ来て、「4th down行こう!」って言ったらギャンブルしたかもしれんよ?

レイブンズのラマーくんはシーホークス戦で、4th downしようってコーチに言ってたよ。マホームズだってスーパーボウルの時「ワスプ」をしようってコーチに言ってた。そういうふうにオレとコミュニケーション取ってくれよ。(ラフルアさんになったつもり)

そしてまた、「将来のことはわからない。いなくなる選手もいるだろうしね、僕を含めて」なんて、暗い声を出していたロジャース。エッッ?ってなりました。ここに来てチームへの不満???

先週までそんな話は1ミリもなかった。イキイキロジャースは「今フットボールが楽しくて仕方ない」みたいに言われてた。試合中ニヤニヤしてたし、MVP筆頭候補でもありました。

パッカーズはいっぱい勝って、良いシーズンだったじゃないですか。この日はたまたま相手が決めたプレイが多くて負けちゃったけど。しかし、みんな頑張った。素晴らしいチームだったと、少しは讃えたらどうなのか。チームのリーダーなら。(讃えてたかもしれないです、あとで)

負け試合のすぐあとなので、腹が立ってたんだろうなあ。気持ちの整理なんかできてないままだったと思います。勝負の世界は厳しいねえ。

いろいろドラマはあったものの、決して4th downコールのせいで負けた訳じゃないので、ラフルアさんは冷たい視線なんか跳ね返してほしいです。なんか優しそうな方なので、影からひっそりお慕いしております。

ということで、スーパーボウルはカンザスシティ・チーフス対タンパベイ・バッカニアーズとなりました。ほんっと、どーでもいい感じ。あと1試合でオフシーズンに入るかと思うと、それだけが悲しいなあ・・・。

2021/01/23

デトロイト・ライオンズHCダン・キャンベル 就任会見で膝の皿を狙うの巻

みなさんこんにちは、プレイオフ週間をいかがお過ごしでしょうか。

勝ち残ってコマを進めるチームの一方で、他のチームでは新シーズンに向けて新体制が順当に整いつつあります。

GM(ジェネラル・マネジャー)、HC(ヘッドコーチ)職が次々と決っていますが、先日、デトロイト・ライオンズの新ヘッドコーチに就任したダン・キャンベルさんの会見が、一躍話題となっていました。

「この街(デトロイト)は蹴っ飛ばされ、殴られてきた。傷を負っている。今ここで、コーチらしい言葉も言える。『今週は必ず勝つ』って。そんなことはどうでもいい。聞きたくないだろ?そんなクソみたいな話はたくさんだ。

このチームは、この街と同じだ。街は底から立ち上がった。逆境を克服する道を見つけた。チームもそうなる。

敵の歯を蹴っ飛ばすんだ。殴り返されたら、オレたちはニヤッと笑う。ノックダウンされたら立ち上がる。立ち上がる途中で、相手の膝の皿を噛みちぎってやる。

オレたちは立ち上がる。今度はパンチ2発を食らってまた倒れる。立ち上がる時に、もう片方の膝の皿も噛みちぎるんだ。次に倒される時はパンチが3発だ。そしたら、また相手のどこかを食いちぎってやる。

最後に立っているのはオレたちだ。そういう精神でやっていくんだ」

こわ!

思わず自分の膝にサポーターをぐるぐる巻きたくなっちゃうような気分。

フットボールへのあふれる熱情を抱えるキャンベルさんは、テキサス州出身の44歳。NFL現役時代はタイトエンドで、ライオンズにも3年在籍していました。怪我のため、リハビリがほとんどでしたが、0勝16敗の2008年も経験しています。

コーチとしてはマイアミ・ドルフィンズで6年。2015年には臨時ヘッドコーチも務めています。2016年からニューオーリンズ・セインツでHCショーン・ペイトンのアシスタントとタイトエンドコーチを兼任してきました。

新しい守備コーディネーター、アーロン・グレンさんも同時にセインツからの移籍が決まっています。

映画「ビッグ・リボウスキ」の”デュード”に似ていると、よく言われるそうで、「まあ、今は髪の毛がちょっと違うけど」とも話していました。

via GIPHY

これはフォトショップのコラみたいですが。

新しい年、新しいチーム。チーム全員が顔を合わせるのは、たぶん春先になるんでしょうが、新コーチが決って選手の方々もやる気がふつふつと湧き出しているのに違いない。

フロントの体制が決まったら、フリーエージェントの契約、ドラフト、トレードなどなど、これからの動向も目が離せません。

今シーズンはまだ終わっていませんが、来シーズンもすでに楽しみになってます。

2021/01/21

【ディビジョナル】QBチャド・ヘニーが走って投げて勝利を呼んだ ブラウンズ@チーフス戦

 NFLプレイオフ・ディビジョナルラウンドは1月17日にクリーブラウンド・ブラウンズ対カンザスシティ・チーフス戦が行われました。

チーフス優勢で進んだ試合は、途中エースQBマホームズがコンカッションで退場するというアクシデントが。第4クォーターでブラウンズが5点差に迫りましたが、22対17でチーフスが逃げ切り、勝利を収めました。

「推しチームじゃないから勝敗どうでもいいしー、なんかこう、いまいち盛り上がりに欠けるよねーブツブツ」と見始めた試合ではありましたが、めちゃ面白かったです❗❗❗

パンター出る幕なしのチーフスオフェンス🔥🔥🔥

ブラウンズWRヒギンズが、ゴールラインへ腕を伸ばしたボールがファンブルに。タッチダウンのはずがタッチバックとなる不運😱

後半しょっぱな、ブラウンズQBメイフィールドが自陣でインターセプト😨しかしチーフスがフィールドゴールを失敗し得点にはつながらず😨

前半、足首?を痛めたQBマホームズが、第3クォーターではコンカッションで退場😱うおー😱

自陣34ヤードからの4th and 1、ゴール前12ヤードからの4th and 3をコンバートし、第4クォーターで5点差に迫るブラウンズ🔥🔥🔥

チーフスのバックアップQBヘニー、エンドゾーンへインターセプトを投げる😱

などなど、全般に渡って見どころ満載でありました。

盛り上がった試合は、いよいよ大詰め。第4クォーター2ミニッツを切って、5点差をリードするチーフスの攻撃。試合終了までボールを持ち続け、勝利を手にすることができるのか?!

自陣35ヤード、3rd and 14。スナップを受けたQBヘニーが崩れるポケットを抜け出し、ファーストダウンめがけて走るぅ!

ダウンのラインめがけて頭から突っ込むというガッツプレイ。自分の体を投げ出す闘志満々の姿が激アツです。うぉおおー!と声がでました。

しかし、肘が地面についてファーストダウンは取れず。自陣48ヤードから4th and 1となりました。残りは1分14秒。これを更新すれば勝利決定。しかし失敗すれば、ブラウンズの決勝タッチダウンまで52ヤード。さあどうする?

実況解説のトニー・ロモ:ここだ。オフサイドを狙うんだ。クォーターバックスニークをすると見せかける。オフサイドを狙って、そしてタイムアウトだ。近寄って、こう言うんだ。「ノープレイだぞ、みんな。動くなよ」絶対ノープレイだ。彼らのボディランゲージを見てみろ・・・

実況ジム・ナンツ:プレイだ!

ロモ:フォース・アンド・インチでショットガンするのは(ヘッドコーチ)アンディ・リードだけだ!バックアップクォーターバックに投げさせるなんて!まさか!ショッキングだ!インポッシブル!こんなの見たことない!!

興奮して我を忘れるロモさん笑。

今シーズン最高の太っ腹コール。そしてそれをコンプリートしたバックアップQBチャド・ヘニー。すんご。

試合前夜、チーフスはHCアンディ・リードを始めとするコーチ陣とクォーターバックが集まり、4th and 10、 4th and 5、 4th and 1のプレイについて相談します。この週の土曜日も、どのプレイが好きか、QBが自信のあるものを確認。WRヒルが右に走るこのプレイは、QBヘニーが選んだものでした。

「これは彼のプレイだ。彼がしたかったやつだ」とHCリード。

「マイク・カフカ(パスゲームコーディネーター)のシートにもあった。EB(OCエリック・ビエネミー)のシートにも。彼らはすぐにこう言ったんだ。『彼がしたかったやつ。これ行きましょう』って。

それで決めた。EBが私を見たので、サムズアップした。やるか、ってね。マイク・カフカにもサムズ・アップして、彼もオーケーだった。上(で指示を送っているパスゲームアナリスト)も、オフェンシブラインコーチも同意の上だ。プロテクションが良いことは昨夜確認済み」

「あのシチュエーションでは、ブラウンズは多分マンカバーで来る。フィルムを見るとね。ブリッツの可能性もある。だからポケットの外に出て、ベストレシーバーをワン・オン・ワンにする。タイリークが素早い動きで横に出たら、僕はパスを出すだけだ」と、ヘニー。

QBチャド・ヘニーは35歳。2008年のプロ入り以来、マイアミ・ドルフィンズ、ジャクソンビル・ジャガーズを経て2018年にチーフスと契約しました。

当時チーフスはQBアレックス・スミスが抜けたあと、「結婚して子どもがいる」ベテランのバックアップQBを探していたところ。

フリーエージェントとしてカンザスシティを訪問したヘニーを、HCリードはすぐに気に入り、その日のうちに契約成立。その年、QBマホームズは大活躍しリーグMVPに輝きました。

翌2019年、ヘニーは怪我で戦線離脱。代役として、ベテランQBマット・ムーアが入団します。

「パット(パトリック・マホームズ)は二人のダイナソー(古代恐竜)に見てもらっている。いい雰囲気だ。二人とも良いサポートをしてくれる。特に素晴らしいと思うのは、選手同士がリスペクトしあうこと」とHCリード。

昨年のAFC決勝戦、体調不良のQBムーアに変わってバックアップを務めたQBヘニーでしたが、スーパーボウルではユニホームを着れませんでした。

「チームの判断だからしようがない。僕の仕事はクォーターバックルームを最善の状態にすること、彼らの準備を手伝うこと、僕にできることをやること。スーパーボウルでもね。ユニホームを着てフィールドに出たいのはもちろんだ。だけどチームの決断には納得している」

7歳の息子さんと5歳の娘さんがいるヘニーですが、過去数年はほとんど出場機会がありませんでした。しかし今年は第17週の試合、そして今週と父の勇姿を見せることができました。

「13年目だ。ずっと練習を続けてきた。オフシーズンも自分を励ましながら。パトリックみたいな怪物と一緒だから、彼のペースについてかなきゃ。毎年、様々な所を向上させようと頑張った。長年続けてきたその努力が、今日みたいな大事な場面で報われて、チームを助けることができた。今まで積み重ねてきたことに感謝している」

とヘニーは語っています。

「バックアップQBって、楽な仕事だよね〜」と思っていました。だって試合中サックで体を痛めつけられることもないし、勝たなきゃいけないストレスもないし。毎週の練習を適当にやって、試合当日はヘッドホンしてサイドラインに立っとけば億単位の年収がもらえる。なんて。

甘い!そんなもんじゃないよ、プロはよ!ですね。

縁の下の力持ち。出番がないかもしれないのに、常に出番を想定して自分をベストの状態にしておくとか、タフじゃないと務まらない。

こういうふうにみんなで勝つ試合って、チームとしても嬉しいんじゃないでしょうか。必要とされた時に一肌脱いで、役目を果たした役者ヘニーさん、良かったです。ワシントンフットボールチームのQBハイネキさんもすごかったですけどね・・・。

今週水曜日、QBマホームズは普通に練習参加したとのこと。週末の試合には出れそうです。AFC決勝はビルズ対チーフス。かなり楽しみ。良い試合を期待しましょー!

(本当は推しチームのレギュラーシーズン試合の方が楽しみだけど、しばらくおあずけだい。チェッ)

2021/01/16

【ワイルドカード】コロナにも負けず試合は続くよどこまでも クリーブランド・ブラウンズ編

ワイルドカード最後の試合は、クリーブランド・ブラウンズ対ピッツバーグ・スティーラーズ戦でした。まさかのターンオーバー祭りにびっくり。思いもよらない大番狂わせで、ブラウンズが勝利を収めました。

ブラウンズは、数日前に新型コロナウイルス感染者のクラスターが発生し、ヘッドコーチはじめ、数人の選手・スタッフを欠いての試合でした。練習施設も一時閉鎖に追い込まれ、不十分な体制からの劇的勝利。すごい。ほんと、いろんなことがありますNFL。

新型コロナの危機に立ち向かいながら、試合に臨むブラウンズの1週間を報道する記事があったので、紹介したいと思います。

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レギュラーシーズンの最終試合前日。ブラウンズのオフェンシブラインコーチ2人が陽性と判明し、GMベリーは選手への感染を懸念しました。まさかの時のラインマンが必要だ。

朝9時半、ニューヨーク・ジェッツGMダグラスに電話。友人でもある彼に事情を説明し、ジェッツの練習生Gブレイク・ヘンスの移籍を依頼します。この日、ジェッツが最終戦のフォクスボローへ出発する前に、移籍に伴う書類をすべて整えました。

選手が飛行機で移動した場合、新チームに合流する前に5日間連続コロナ陰性証明が必要となります。(空港や機内で感染の危険があるため)幸いにもニューヨークとクリーブランドは車で6時間半ほどの距離。朝の検査ですでに陰性が判明しているヘンスは、自分の荷物を車に積み、700 kmを運転してブラウンズのホテルへ到着。午後7時半でした。

ホテルのエレベーターで見慣れた顔に遭遇。2019年ワシントンフットボールチームのキャンプで一緒だったQBケイス・キーナムです。彼は現在ブラウンズの控えQB。

「あれ?会ったことあるよね?」とキーナムが声をかけました。二人ともマスクをしているので、顔の半分は隠れています。

「ケイス、僕、ブレイクだよ。ブレイク・ヘンス」

びっくりしたキーナムは、なぜここにいるのかと尋ねました。「このチームになったんだ」とヘンス。

他のチームメイトと実際に会うことは、翌週の金曜までありませんでした。新たな感染者が見つかったためです。ブラウンズの1週間は以下のとおり。

火曜日:朝5時15分にGMベリーの電話が鳴りました。HCステファンスキとプロボウル選手Gバイトニオが陽性との知らせ。18年ぶりのプレイオフ戦への出場が不可能に。

「ショックだ。ケビン(ステファンスキ)はマスクにとても厳しいんだ。いつもマスクを着用していた。してない人に怒鳴ってたのを4回は聞いた。1回は審判で、選手に3回。彼が感染するなんて信じられない」と、ブラウンズの選手。

午後3時、HCステファンスキがズームで選手とスタッフ105人とミーティング。淡々と事実を伝え、外は「いい天気だ」とも語り、落胆した様子は皆無でした。当惑した選手もいましたが、シーズンを通して冷静沈着なヘッドコーチの姿勢はそのまま。

「君たちは、今シーズンずっとカーブボールへの準備はしてきた。これもまたその一つだ」

水曜日:新しい陽性は出ませんでしたが、練習施設は閉鎖。ズームでゲームプランを確認し、ウォークスルー。オフェンス陣はスティーラーズのディフェンスフォーメーションをスクリーンに映し出し、QBメイフィールドがプレイをコール。それぞれのプレイについて、他の選手はアサインメントを口頭で述べたり、ズームカメラの前で動いたりします。

ズームミーティングの後、選手は自宅で筋トレ。QBキーナムは1歳の息子さんを抱えてスクワット。

木曜日:施設閉鎖のまま、ズームミーティング。試合でプレイコールをする代役になったOCバンペルトは緊張気味。HCステファンスキがするであろうプレーをコールするつもりです。

「誰も同じコールなんてできやしない。彼(ステファンスキ)が自宅でテレビを見ながら『何やってんだ!』って怒鳴る回数が少ないことを祈るよ」

この時点で、感染者リストは選手7人、コーチ6人。

「コーチはいつも言ってた。オレたちはカーブボールを打たなきゃいけないんだと。またひとつ飛んできたってわけだ。大変だけど打たなきゃ。それしかない。2021年になったけど、まだ2020みたいな気がする」とWRランドリー。

金曜日:ブラウンズは2つのコロナ検査を開始しました。より正確なPCR検査と、結果が早く出るMESA検査。先発SハリソンがMESAで陽性反応。以後3日間、両検査で陰性となれば、偽陽性と診断され、試合出場が可能となりますが、この時点ではまだ不明。CBワード、CBジョンソンはすでに陽性が確認され、欠場は決定済み。

午後4時、練習施設に使用許可が下りました。選手は3つのシフトに別れ時間差出勤。ロッカールームは使えず、着替えは寒い屋内フィールドで。間隔を離して置いた椅子の上にヘルメット、ジャージ、クリーツが置いてありました。この週初めての練習は90分で終了。

QBメイフィールドとQBキーナムは常に5メートル程の距離を取りつつ練習。特にメイフィールドは、誰にも近寄らないようにしていました。

「ベイカーとはできるだけ離れていた。僕ら二人は特に離れる必要がある」とキーナム。最悪でも、一人は感染を免れるために。

土曜日:ピッツバーグへの移動は、普段ならバスで約2時間。200 kmの道のりです。しかし狭い空間での密集を防ぐため、今年は飛行機2機を使用。161席と280席のボーイング機に、それぞれ60人の選手・スタッフが搭乗し、計120人が移動します。

それだけではありません。陽性のため欠場する5人のコーチ以外の、コーチ19人はそれぞれ一人ずつリムジンで移動。運転席と後部座席の間にはもちろんプレキシガラスが設置されています。

偽陽性かもしれないSハリソン選手、病気療養中のOTコンクリン選手、ほか3人の選手も同様に車で移動。

1台455ドル(約5万円)のリムジン代は、24台で合計10,680ドル(約120万円)。それにチップが加算されます。

「感染を防ぐためならどんなことでも」と語るGMバリー。

HCステファンスキ、GMバリーの対応にブラウンズのスタッフは信頼を寄せます。「物事に動じない二人なんです。嵐の中でもあの二人なら任せられる」

記者が「悪夢」と呼ぶ今回の危機について、GMバリーはこう語ります。

「悪夢とは思わない。私達はNFLプレイオフにいる。素晴らしいチャンスだ。サム・プレスティ(NBAオクラホマ・サンダーGMで友人)はこう言った。『プロフェッショナルとは、厳しい状況下で、どれだけレベルの高いパフォーマンスができるかで定義される』と。その言葉を、今週は考えさせられた」

午後9時、試合前最後のズームミーティング。選手・スタッフはホテルのそれぞれの部屋から。HCステファンスキは自宅の地下室から。

気迫あるスピーチをするタイプではありませんが、明日の試合は「ターンオーバーがカギとなる」と語ったステファンスキ。QBロスリスバーガーは、ラインにパスをティップされることが多い。「ティップされたボールとインターセプト。それが僕は見える」

第4クォーター残り10分。LGバイトニオの代役を務めていたLGダンが負傷退場。まさかの保険として獲得したブレイク・ヘンスがフィールドへ。

初めてのNFL試合。様々なチームで練習生を経験した2年間。ブラウンズの選手とは週末に会ったばかり。初めてのスナップで向き合うのは、スティーラーズのベテラン、プロボウル選手DEヘイワード。

ヘンスは15スナップをプレイし、サック、QBヒット共にゼロ。QBメイフィールドを守りきりました。

「レフトガードのジョエル・バイトニオの代わりをマイケル・ダンがしてたんだけど、マイケルが怪我。それでブレイクってやつが入ったんだ。試合前にロッカールームで自己紹介したばっかだよ。彼が第4クォーターでやってくれた」

と試合後にQBメイフィールド

パスラッシュがリーグ1位のスティーラーズを相手に、ブラウンズのオフェンシブラインは大健闘でした。許したのはQBプレッシャーが2回のみ。

いいなあ。シーホークスファンからすると、こういうのほんと羨ましい。

この試合を自宅で観戦したHCステファンスキさんですが、家族が見ているテレビと、階下の自分のスクリーンとの時間差があり、子どもたちが上で騒いでいる音でブラウンズが得点したことを知ったとのこと。

今年大躍進のクリーブランド・ブラウンズ。番記者の方が「HCステファンスキのクールな落ち着きが、チームに良い影響を与えている」と話していました。そうなのかもしれません。熱くなりやすい選手が多そうだし。

しかし、プレイオフは毎試合悲喜こもごも。スティーラーズ残念でした。今更ですが、17週のブラウンズ戦で、QBロスリスバーガーを休ませずフルパワーで戦っていれば、ブラウンズのプレイオフ進出を阻止できたかも。そんなことも頭をよぎります。いやほんと、一寸先は闇か。

というわけで、スーパーボウルを目指し、プレイオフは進みます。アメリカ中で新型コロナ感染者が爆発的に増大する中、ここまで試合を続けてきたNFL、すごいなと思います。それを可能にしたリーグ、スタッフ、選手の皆さんの飽くなき努力に感謝。

2021/01/12

【ワイルドカード】ワケが分からぬままにシーズンエンド ラムズ@シーホークス戦

 NFLワイルドカード戦は1月9日(土)10日(日)の両日に3試合ずつ行われました。シアトル・シーホークスは土曜日2試合目にロサンゼルス・ラムズと対戦し、30対20で敗戦を喫しました。

残念です。悔やみきれませんが、シーホークスのシーズンはこれで終了😭😭😭

私はあいにくこの試合は見れませんでした。録画の設定をして出かけたのに、帰ってきたら録画がない。1試合目のコルツ対ビルズは録画できたのに。留守番してた人が「リモコン変なとこ触っちゃったかもアハハハ」とほざくので、ウリャアアアア!となりました。

負けた試合を見るのも辛いからいいかな。でも見たい。縁があったら、そのうちどっかで見れるでしょう。(ここまで書いて、ふらっとYouTubeのぞいたらあった!見ようっと。あとで)

とりあえず、ハイライトは視聴完了。

聞くところによれば、オフェンスが全くダメだったらしい。今シーズン最低の試合。そういう声がちらほらします。

QBウィルソンへのプレッシャーが激しかった。オフェンシブラインが持ちこたえられなかった。ランが出なかった。WRメトカーフもWRロケットも抑えられていた。

すなわち、ラムズのディフェンスに対応しきれなかった。

ハイライト3:10 のインターセプトが象徴的です。はぁぁ??最初っからディフェンスが狙ってるやん。プレーコールがバレちゃってるやん。ラムズがちゃんと研究してるやん。

QBウィルソンの不注意なパスにもびっくりです。なんつー呑気者なのでしょうか。

Play-by-Play を見てみると、立ち上がりから 3 Plays 3 Yards, 3 Plays -19 Yards, 4 plays 27 yards と苦しんでいたことが分かります。まーたこのパターンか。第4クォーターまでグズグズするオフェンス・・・。

しかし後半でもオフェンスの停滞は続きます。決定的なパントリターンのファンブル(!!!)が起こったのは第4クォーター。試合時間残り7分(!!!)で、10点差。後半この時点まで、5回攻撃して獲得ヤードが28。にじゅうはちヤード!!!ガビーン・・・。

いくらなんでも酷すぎるう。プレイオフでこんなことしてて勝てるもんか。これは、負けるべきして負けた試合と言えましょう。

このファンブルをタッチダウンに持ち込まれ、4分半を残して30対13ですからね。(T_T)

策の無さが敗因か。ラムズのコーチ陣のほうが優秀だということが白日の下に晒されました。ちゃんとフィルムを研究し、万全の対策を練って来たじゃないですか。

シーホークスは2週前ラムズに勝って地区優勝決めてるし、今度も大丈夫かなって油断したんじゃないの。QBゴフくんは親指の手術したばっかだし、控えQBに負けるハズがないだろうって。ちょっと甘く見すぎてただろ。

私は甘く見てたよ。この試合見れなくても来週見るもん、とか思ってた!あああああああ!!

シーズン当初は破竹の勢いだったオフェンスですが、中盤から煮え切らないものに変わり、そのままシーズンエンド。いったいあれはなんだったのか。誰か説明してほしい。

ラッセル・ウィルソン対策を他のチームをしたからか。(した)ウィルソンの力が落ちたのか。(かもね)プレイコールが一辺倒で何の工夫もなかったからか。(ビンゴ!)

記者会見では、ヘッドコーチ、選手ともに、まさかこの試合がシーズン最後になるとは思わなかった様子でありました。

いつもピシッとオサレなスーツで現れるQBウィルソンですが、この日はほっぺに塗ったスミも汗で流れ、ヨレヨレのスエットで登場。シャワーもままならず、気持の整理をしていたのでしょうか。それもまた良し。

QBなんかカッコ良くなくていいもん。フツーにダッサーって感じが結構好き。

ウィルソンとしても悔いが残る試合だったでしょう。これをバネにして、来シーズンへの闘志がますます燃えるというものじゃないでしょうか。

WRメトカーフくんだって、CBラムジーに抑えられた不満が爆発していたようですが、来年はラムジーに勝つ番だど!やられてばっかで引き下がれるか!

来シーズンへ向けての動きはすでに始まっており、どうやらOCショッテンハイマーさんとは決別することになりました。来年は一体どんなチームになるのか。

シーホークスのシーズンは終わりましたが、プレイオフは続きます。毎週チームが少しずつ減ってくって、これもちょっと寂しいですね。試合の数が少なくなり、スーパーボウルでシーズン終了だもの。残された日々を、みなさん楽しんでいこうではありませんか。

シーホークスの来年の健闘を祈りながら。#GoHawks!!!


2021/01/08

【第17週】12勝4敗で無事にシーズン終了! シーホークス@49ers戦

シアトル・シーホークスの今シーズン最終戦は、アリゾナ州グレンデールでのサンフランシスコ・48ers戦となりました。カリフォルニア州のコロナ感染症規制により、ナイナーズの拠点がアリゾナに移ったためです。

このスタジアムは49回スーパーボウル敗戦の地であり、また、Sアール・トーマスが負傷し中指を立て退場したところ。あまりいい思い出がないので、なんかやだなぁと思っていましたが、無事に26対23で勝つことができました。ホッ。

ナイナーズは数多くの先発選手を欠いていましたが、固い守備で互角の滑り出し。前半はシーホークスが6対3でリードしましたが、第3クォーターで逆転され、第4クォーター始めではナイナーズが16対6とリードを広げました。

まずい。爆発的な勝利でプレイオフへの勢いをつけたい。しかし、なぜかいつものようなギリギリの試合になってしまうんです。後半に入ってから、3 & Outのオフェンスが2回続きました。とほほ。これはもう、「こういう瀬戸際を偏愛するチームなのだ」と腹をくくるしかありません。

そしてとうとう、第4クォーターでタッチダウンを3つに成功。試合時間1分49秒を残し26対16として勝利を決めました。(そのあとナイナーズにタッチダウンを許していますが)

下は残り2分20秒、4点差を追う4th downで逆転を決めたWRタイラー・ロケットのタッチダウン。これでシーズン100回キャッチ成功。シーホークスの歴代チーム記録となりました。

WRメトカーフも、歴代チームのレシーブヤード記録を更新です。35年ぶりの新記録とのこと。

この試合第4クォーターでは、Sジャマール・アダムスが左肩を負傷。ベンチでの落胆ぶりが目を引きました。いつも人一倍うるさい人なのに、いったいどうした?!蹴っ飛ばされた子犬みたいになっている・・・。

プレイオフ1戦目出れないかも・・・と心配していましたが、木曜日の記者会見では「出場するに決まってんだろ」と元気な様子を見せました。ホッ。

すでに右肩を負傷しており、手の指も2本骨折。シーズン中に1ヶ月ほど欠場を余儀なくされた鼠径部の怪我もあります。この人だけではなく、ほとんどの選手は何かしらの故障を抱えながらプレーしている状態でしょう。しかしポストシーズン、あとひと頑張りお願いしやァァッス!

ということで、プレイオフはラムズとの対戦になりました。今年3回目の試合。

まずひとつ勝って、コマをひとつ前に進めてほしい。

プレイオフウィークエンドめちゃ楽しみです。うう、武者震い。レッツゴーーーーー!