2015/10/17

パントをブロック!タッチダウン!ニューオーリンズに希望の火をともした二人

木曜夜のアトランタ・ファルコンズVSニューオーリンズ・セインツ戦。

アトランタは5-0で快進撃中、一方ニューオーリンズは1-4で今シーズンはもうダメかな・・・という状況で迎えた一戦なので、大方の人がアトランタの余裕勝ちと思っていたことでしょう。ところが、セインツが試合開始早々にタッチダウン!おや?と思っているうちに、ファルコンズのパントをブロック、それをタッチダウンして一気に14対0!


パントをブロック!初めて見たよ!こんなんあるんだね!

この、ほとんど不可能にしか見えないパントブロックを、同じスーパードームで、同じファルコンズ相手に、9年前にやってみせた人がいました。スティーブ・グリーソンさんです。


2006年のこの試合は、ニューオーリンズにとって特別な意味をもつ試合でした。

前年にハリケーン・カトリーナで大きな被害をうけたニューオーリンズ。セインツの本拠地スーパードームには何万人という被災者が押し寄せ、そこでは混乱が。ドームの修理のため、セインツはシーズン中スーパードームを使うことができず、近隣のスタジアムを借りてホームゲームを消化し、3-13のボロ負けで2005年終了。

そして翌年、スーパードームが再オープンされた時のホームゲームが、このファルコンズ戦だったのです。ハリケーン・カトリーナ以後、修復されたスタジアムでの、初めての試合。迎え撃つは、それまで負け知らずのファルコンズ。試合前にはグリーンデイとU2が Wake Me Up When September Ends と The Saints Are Coming を歌って盛り上げてくれました。

そこでの、この、ほとんど奇跡ともいえるパントブロックからのタッチダウン。

怒涛の歓声。揺れるスタジアム。想像に難くありません。

ひとつのプレイが人に与える勇気と希望って素晴らしいな!


この試合を見た人の心に深く刻まれるプレイを見せてくれたグリーソンさんですが、その後、ALSを発症します。

ALSとは、脳から筋肉に伝わる神経が侵される病気で、まず手足の筋肉が動かなくなり、食事をする筋肉が動かなくなり、最後は呼吸をする筋肉も動かなくなって死に至るという病気です。グリーソンさんがこの病気と向き合いながら、たくさんの人に勇気を与えている様子は、いろいろなニュース番組で取り上げられています。そのグリーソンさんの固い信念とニューオーリンズの復活を心に留めておこうぜ!という銅像も作られました。今週の、この試合前には、グリーソンさんを称えるセレモニーが行われました。

それでこの試合で、グリーソンさんが見ている前でのパントブロックだもの。

グリーソンさんのパントブロックは復興さなかのニューオーリンズに希望を与え、今週のマイケル・マウティさんのパントブロックは、今シーズンはもう終わりかよ・・・と思ってたセインツのファンに希望を与えました。

今回パントブロックしてタッチダウンを決めたマウティさん、じつは9年前、グリーソンさんのプレイをスーパードームで見ていたそうです。

当時ニューオーリンズの高校生だったマウティさん。観客席でそのプレイを見て以来、自分も同じことをするのが夢だったと語っています。

「その時のことを思い出すと、今でも鳥肌がたつよ。すごい歓声だったんだ。今まで行ったスタジアムの中で一番すごかった。試合前に人が泣いてた。信じられないくらい感動的だった。忘れられない。彼はボクのヒーローなんだ」

奇跡的なパントブロック。お互いのプレーを目の前で見た二人。同じ場所で同じ対戦相手。負けを予想されてた試合に勝って、みんなに希望を。

って、なに?!出来すぎじゃないのかよ、おい!?

と思った木曜の夜でした。試合は31-21でセインツの勝ち。セインツがんばれ!プレイオフ行こう!ドリュー・ブリーズさんの笑顔はいいなぁ、いい人そうだなぁ。もっと見たいな。


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